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「孫よ、いつでも帰っておいで」風にそよぐ、こいのぼり 福島・大熊町

こいのぼりを掲げた自宅前に立つ長谷川信一さん(右)と妻セツ子さん=福島県大熊町大川原で2019年5月3日午後2時35分、渡部直樹撮影

 こどもの日の5日、東京電力福島第1原発事故の避難指示が解除された福島県大熊町大川原地区で、色とりどりのこいのぼりが風にそよいだ。同県本宮市に避難している長谷川信一さん(71)が4年前から自宅で揚げ始め、今年も10連休前に揚げた。原発事故まで、自宅は孫たちが集まりにぎやかだった。こいのぼりに「孫たちがいつでも帰ってこられるように」と願いを込める。

 水道工事の請負などの仕事をしていた長谷川さんは、妻セツ子さん(71)らと本宮市に避難した。2014年に同市に新居を建てたが、いつかは戻ろうと考え、毎週のように大川原に通い、自宅の手入れを続けた。

 長谷川さんは3人の子どもが大熊町や近くの同県南相馬市に住み、計8人の孫に恵まれた。3家族は孫の誕生日のたびに長谷川さんの自宅に集まった。ゴールデンウイークは庭にこいのぼりを揚げ、一緒に田植えをし、夜は庭でバーベキューを楽しんだ。

 事故で3家族も県内各地に避難した。新たに2人の孫が生まれ、孫たちが集まるのは長谷川さんの本宮市の新居になったが、住宅街のため外で遊ぶことは難しくなった。

 同県いわき市に避難した長谷川さんの長女、山崎弓子さん(44)は、南相馬市の親類を訪ねるため、大熊町を通過する常磐自動車道を通るようになった。常磐道から約50メートルの場所に長谷川さんの自宅がある。長谷川さんがこいのぼりを揚げるようになったのは、孫たちに車の中から見てもらうためだ。みんなで遊んだ一家の思い出の場所を、大切に守っていると伝えたかった。

 長谷川さんは16年に脳梗塞(こうそく)を患った。現在は本宮市の病院に通いリハビリを続けており、大川原への帰還は難しいと感じている。

 5日、孫10人分を含めて計12匹のこいのぼりが泳ぐ下で、長谷川さんとセツ子さんは孫たちと過ごした思い出を振り返り、「震災前に戻してもらいたい」とつぶやいた。【渡部直樹】

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