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余録

のどかな春は外を歩きたくなる季節…

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 のどかな春は外を歩きたくなる季節。遍路道も同じである。この時期に四国八十八カ所霊場を巡る人は多い。慰霊、祈願、自分探し……。思いはそれぞれだろう。遍路は春の季語でもある▲国立がん研究センターの名誉総長、垣添忠生(かきぞえ・ただお)さんも遍路道を歩いた。著書「巡礼日記」によると、がん医療に40年近く携わった自分が、妻の小さな肺がんを治してやれず、先立たれた。喪失感の深さに毎晩、酒をあおった。涙に暮れる生活をようやく立て直し、遍路へと出発したのは、妻が亡くなって7年になるころだった▲巡礼は最初、妻の慰霊のためだった。だが、垣添さんは歩き始めてすぐに気づく。「妻は日々私とともに歩いてくれていたのだ」。亡くなってもずっと見守ってくれていたと。妻への感謝が目的に変わった▲近年、遍路道に若者や外国人が増えている。地元は世界遺産への登録を目指し、国も外国人向けの周遊ルートとしてPRに力を入れる。経済効果はともかく、なぜこれほど人を引きつけるのだろうか▲人や自然に触れながら、ひたすら歩く。そうすれば、垣添さんのように、何かが見つかる。目には見えない人生の道しるべのようなもの。それを探し求める人が多い時代なのかもしれない▲<お遍路が一列に行く虹の中>。寅さんこと俳優の渥美清さんはこの句を詠んで2年後に亡くなる。思えば寅さんは、道に迷う人々に寄り添って歩くような人だった。暦ではきょうから夏である。遍路道も次第に暑さが厳しくなっていく。

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