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メディアの戦後史

権力追った児玉隆也氏 圧力はね返す精密な取材

退院後の検診のため1975年4月3日、国立がんセンターを訪れた児玉氏。回復したように見えたが5月22日に死去した

 雑誌記事が政権を倒したことがある。月刊誌「文芸春秋」1974年11月号(10月9日発売)に載った立花隆氏の「田中角栄研究--その金脈と人脈」と、児玉隆也氏の「淋(さび)しき越山会の女王」である。新聞はすぐ後追いしなかったが、影響はじわりと広がり、田中角栄首相は11月11日の内閣改造の末、同月26日に退陣表明に追い込まれた。雑誌発売の1カ月半後だった。

 児玉氏の原稿は、田中首相の「金庫番」として年間20億円もの政治資金を動かしていた佐藤昭(あき)秘書の足跡をたどったものだ。秘書になる前に住んだ6畳一間のアパートや、とっくに閉店した勤務先まで描き、世間にほとんど知られていなかった陰の実力者の実像を白日の下にさらした。立花氏の原稿が金脈をデータで示したのに対し、児玉氏の原稿はそれを人と証言で浮き上がらせたものだった。

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