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自分にうんざりしたときは、まど・みちおさんの詩を読む。例えば童謡になった「ぞうさん」。他の動物に鼻の長いのをからかわれ、「そうよ かあさんも ながいのよ」と返す子ゾウの詩だ。
「この歌は、ぞうに生まれてうれしいぞうの歌、と思われたがっている」。詩人の阪田寛夫さんは、まどさんにそう教わったと自著で明かしている。さらに「目や髪の色が違っても(・・)仲良くしよう、とよく言われますが」と阪田さんが言うと、まどさんは「そうではなくて、違うから(・・)、すばらしい。違うから(・・)、仲良くしようというんです」(傍点は原文)と語った、とも。
他人と違っても、自分が自分だからうれしい。だから仲良くできる……。そんな、自己肯定の“存在の詩”をまどさんはたくさん書いている。冬眠から明け「ぼくはだれだっけ?」と寝ぼけたクマが、川面に映った顔を見て、<そうだ ぼくは くまだった よかったな>と言うのが詩「くまさん」。一方、詩「うさぎ」は、<うさぎに うまれて うれしい うさぎ>で始まる。
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