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社説

トランプ氏の対中制裁 脅しよりも対話で解決を

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 大国同士の貿易戦争が激しくなれば、その影響は極めて深刻になる。世界経済を人質に取るような脅しではなく、対話で解決すべきだ。

     トランプ米大統領が、中国からの輸入品約22兆円分に対する制裁関税を、10日に10%から25%へ大幅に上げると突然表明した。一方的に期限を設定し、その前に予定される閣僚級協議で対中圧力を強め、譲歩を引き出そうという狙いなのだろう。

     制裁が強化されると、25%もの高関税の対象が中国からの輸入品全体の4割強にもなる。中国の報復は必至とみられる。各国に不安が広がり、日本などの株価は急落した。

     米中の貿易協議を巡っては、トランプ氏自身も直前まで進展を認めていた。今週にも大枠で合意するとの見方もあったが、唐突な発言によって状況が一変した。

     米メディアによると、中国による知的財産権の侵害問題で中国側が対策を後退させたという。この問題は日本や欧州も批判している。中国は早急に是正する必要がある。

     だからといって、米国が国際ルールに反する一方的な制裁をエスカレートさせていいわけではない。

     トランプ氏が制裁強化に言及したのは、最近の米国の経済指標が好調で株価も最高値に迫り、強硬姿勢を示しても米国への影響は小さいと判断したため、との指摘もある。

     本来、米国は超大国として世界経済を安定させる責任があるはずだ。「米国第一」を振りかざすトランプ氏が自国の利益を優先したのなら、あまりに身勝手である。

     さらにあきれるのは、トランプ氏が制裁強化を表明したツイートで「これまで米国に支払われた関税は中国が負担してきた」と事実と全く異なる話を持ち出したことだ。

     あたかも制裁関税が米国経済にプラスに働いたと言わんばかりだ。実際に負担したのは米国の企業と消費者である。制裁強化には米国の経済界すら反対している。事実に基づかない主張で世界が振り回されては、たまったものではない。

     制裁の応酬は誰の利益にもならない。米国が仕掛けた貿易戦争で中国の景気が悪化したが、米国経済も痛手を被った。昨年末から年明けの世界的株安ではっきりしたはずだ。負の連鎖を繰り返してはならない。

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