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社説

日朝会談「無条件で」 国内向けに偏りすぎでは

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 独裁国家のトップと会談を行う重要性は理解できる。

     安倍晋三首相は北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と条件を付けずに会談に臨みたいとの意向を示した。トランプ米大統領との電話協議を受けての発言である。

     拉致問題の解決に向けて首脳会談を行う意思をより明確にするためだという。懸案の解決に資する会談の実現を目指すのは当然だ。

     ただし、やみくもに呼びかけるだけでは意味がない。小泉政権時代の2002年に初の首脳会談が行われた際には、事前に水面下で長期間の実務レベルの接触があった。それが拉致被害者の帰国につながった。

     今回こうした前さばきが見られないのに、首相はなぜ無条件でと言い出したのか。外交上のメッセージというより、国内向けのアピールだと受け取られても仕方があるまい。

     周辺国の首脳で会談していないのは安倍首相だけだとの批判を避ける狙いがあるようだ。金氏と対話を続ける方針のトランプ氏と足並みをそろえる意図もあるのだろう。

     だが、首相はこれまで「拉致問題の解決に資する会談としなければならない」と訴えてきた。北朝鮮が非核化へ向けて具体的な行動を示す必要があるとも主張していた。

     昨年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪に合わせて韓国政府が南北対話を推進すると、「北朝鮮のほほ笑み外交に目を奪われてはいけない」とけん制したほどだった。方針転換したのは明らかだが、その背景に合理的な戦略があるようには見えない。

     最近、首相は北朝鮮との相互不信の殻を破ると強調している。今年の外交青書で北朝鮮への圧力を最大限まで高めるとの表現を削除したのはその一環であろう。

     しかし、北朝鮮の国営メディアは歴史問題の清算が先だと批判を続けている。実のある会談を行うのは容易ではなさそうだ。

     北朝鮮は今も核を温存したままである。4日には日本海に向けて飛翔(ひしょう)体を数発発射し、緊張を高めた。

     日朝協議は、北朝鮮が14年にストックホルム合意で拉致被害者の再調査を約束したものの、核・ミサイル実験で暗礁に乗り上げた。トップ会談を行おうというのに、打開する妙案は見えていない。

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