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日本の心不全患者数の推計

 治療中に安静にしていた影響で、運動能力が落ちる心臓病患者は多い。適度に心臓に負荷をかけ、回復を促す心臓リハビリテーションは社会復帰を早める上でも有効な手段だが、普及が進まないなど課題もある。

     ●基本は有酸素運動

     埼玉県毛呂山町の男性(63)は週1回、隣接する同県日高市にある埼玉医大国際医療センターに心臓リハビリを受けるため通っている。リハビリ中は理学療法士など専門職の付き添いのもと、約1時間かけて自転車型や足踏み式の機器を使った運動に取り組む。その間、心電図や血圧などを常に測定し、体への負担が大きくなりすぎないようチェックを受けている。

    足踏み式の機器を使った心臓リハビリに取り組む男性(右)と様子を確かめる牧田茂・心臓リハビリテーション科診療部長(後方)ら=埼玉医大国際医療センターで

     男性は2010年、虚血性心筋症の発症がきっかけで、心筋梗塞(こうそく)を経て慢性心不全になった。手術や入院で体力が落ち、一時は車いす生活を余儀なくされた。以前は、歩いてもすぐに息切れをしていたが、「心臓リハビリを続けたおかげでここまで回復できた。家でも壁に手をついてスクワットを毎日やっている。体調もよくなった。まるで夢のようだ」とほほ笑んだ。

     心臓リハビリは、自転車こぎや歩行など有酸素運動が基本。そこに、下肢を中心とした筋力トレーニングを加えたプログラムを組むのが一般的だ。重要なのは、患者の体力の見極めで、患者に「運動負荷試験」を事前に受けてもらい、心肺機能を調べる。その上で、医師だけでなく理学療法士、看護師など多くの専門職が参加し、患者にあった適切な心臓リハビリのプログラムを作成する。

     この男性のリハビリを担当する牧田茂・心臓リハビリテーション科診療部長は「病態や飲んでいる薬、体力レベルが患者によって違う。負荷試験によってその人に合ったリハビリ強度を設定する必要がある」と説明する。

     ●再発、死亡リスク減

     心臓リハビリには利点が多い。例えば、運動能力や体力が上がって日常生活での息切れが軽くなる▽筋肉量が増えて動作が楽になり、心臓への負担が減る▽血管が広がりやすくなり、血液循環がよくなる▽動脈硬化が進みにくくなる--などだ。

     心臓リハビリの有効性を示す科学的根拠も国内外で蓄積されてきている。最近でも北里大のチームが、全国15の病院に心不全で入院した患者3227人について心臓リハビリをしたかどうかで分けた上で、症状改善後の再入院率と死亡率を比較・分析した。すると、心臓リハビリをした方が、しない方より再入院リスクが21%、死亡リスクが33%低かった。

     ただ、心臓リハビリは、脳卒中やけがの後に受けるリハビリと比べ普及したとは言い難い。日本心臓リハビリテーション学会によると、受けられる医療機関は全国に約1300しかない。牧田部長は「これまでの心臓病治療は、発症から間もない急性期が中心だったが、手術などの治療で一時的によくなっても再発することがある。心臓リハビリや食事の管理などを患者に理解してもらって取り組むという予防的な考え方を広めることが重要だ」と強調する。

     心臓リハビリを受けられる医療機関は、同学会がウェブサイトで都道府県別のリスト(http://www.jacr.jp/web/everybody/hospital/)を公表している。【野田武】

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