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社説

米国の対イラン圧力 危険な水域に達している

 米国とイランの対立が危険な水域に達しつつある。中東と世界の不安定化が憂慮される事態だ。

     米国は今週初め、中東に原子力空母と戦略爆撃機を派遣した。イランが中東の駐留米軍を攻撃する恐れがあるとの情報に基づく対応という。

     一方、イランのロウハニ大統領は米国の核合意離脱表明1年のきのう、他の署名国が合意を履行しない場合、核開発を再開すると警告した。

     両国が互いに譲らない姿勢を見せつけ合うなか、米国以外の署名国でかろうじて維持されている核合意は存続の危機に直面している。

     イランが核開発再開に踏み切れば軍事的な緊張は一気に高まろう。

     米国がイランの精鋭部隊・革命防衛隊を「テロ組織」に指定し、イラン産原油の全面禁輸を発表した先月以降、非難の応酬が続く。

     イランは対抗して中東の駐留米軍を「テロ組織」に認定した。さらに核拡散防止条約(NPT)離脱やホルムズ海峡封鎖にまで言及した。

     そもそもはトランプ政権が一方的に合意を破棄して生まれた緊張だ。圧力を強めることで再交渉に持ち込み、米国にとって有利な合意につなげる戦略だという。

     しかし、多くの国はイランが合意を順守していると主張する。本当の狙いはイランによる反イスラエル組織への支援を断ち切ることだろう。

     そうだとしても、外交的・軍事的圧力を強めればより優れた合意が結べると考えるのは短絡的に過ぎる。

     トランプ政権には圧力で対話につなげた北朝鮮の例が念頭にあるのだろう。ただし、国際社会の一致した行動があってこそ実現したものだ。

     イランと再交渉できたとしても国際社会の後押しは得られまい。欧州や中国、ロシアは米国の一方的な行動にこぞって反対している。

     イランも慎重に行動すべきだ。核開発再開はNPTに違反し、国際的な批判が高まるだろう。米政権内に限定攻撃論が起こる恐れもある。

     トランプ政権の中東政策で利益を得ているのはイスラエルとサウジアラビアぐらいだ。国際社会を敵に回すような方策を講じても得はない。

     米国の制裁の全面履行でイランの原油輸出は大幅に減る。世界経済を不安定化させないためにも、核合意の維持へ国際社会が協力すべきだ。

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