メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

LookWESTけいざい

eスポーツ、異業種企業からの参入続々 高校授業で「実技」プロ育成も活発化

サッカーゲーム「ウイニングイレブン」の腕前を競うeスポーツイベント=大阪市淀川区のホテルプラザオーサカで2019年3月29日午後7時12分、加藤美穂子撮影

 プレーヤー同士が公開の舞台で対戦し、コンピューターゲームの腕を競う競技「eスポーツ」に注目が集まっている。欧米や韓国の若年層から火が付き、国内でもスポーツ競技として認知されつつある。eスポーツを巡る企業の取り組みや、プロのゲーマー育成の現場を追った。【加藤美穂子】

将来はワールドカップのようなイベントを

 「ナイスゴール!」。大画面モニターに映し出されたサッカー選手がシュートを決めると、観客から大きな歓声が上がった。3月末の夜、ホテルプラザオーサカ(大阪市淀川区)が開いたコナミデジタルエンタテインメントのサッカーゲーム「ウイニングイレブン(ウイイレ)」を使ったeスポーツイベントだ。本物のスタジアムのような盛り上がりをみせたが、観客が食い入るように見つめる大画面の選手らはCG(コンピューターグラフィックス)だ。実在する世界の強豪チームを選んで戦う国内外でも人気のゲームで、eスポーツの「種目」として引き合いが強い。

eスポーツが生み出すビジネス

 eスポーツ振興を目指すプラザオーサカは、外国人宿泊客の獲得にもつなげようとイベントを初開催した。ウイイレの「プロ」として公式ライセンスを持つ「GENKIモリタ」(本名・森田康平)さん(28)や韓国の選手らも参加し、熱戦を繰り広げた。同社の菅原真太郎取締役(31)は「外国人宿泊客にもプレーヤーとして参加してもらい、将来はワールドカップのようなイベントを開きたい」と夢を語った。

 eスポーツはエレクトロニック(電子)・スポーツの略で、インターネットなどを通じて対戦する。欧米でゲームファンが開く地域の大会が次第に大規模化し、今では億単位の賞金を稼ぐプロのゲーマーもいるという。2018年に行われたアジア最大のスポーツの祭典、アジア大会で公開競技に採用された。eスポーツ「後進国」と言われてきた日本でも昨年ようやく、全国統括組織「日本eスポーツ連合」が発足して普及に向けた機運が高まっている。オランダの調査会社によると、eスポーツの市場規模は、22年には17年の3倍近くの17億9000万ドル(約2000億円)にまで成長すると見込まれている。大会のスポンサー収入や放映権、ゲーム関連の販売なども増えるためで、企業の参入も相次ぎそうだ。

カプコンのeスポーツイベント「カプコンカップ」の様子=カプコン提供

 市場拡大の恩恵を大きく受けるゲーム業界では、競うように大会開催に乗り出している。カプコン(大阪市中央区)は、主力の格闘ゲームソフト「ストリートファイター」の世界王者を決める公式大会「カプコンカップ」を13年から米国で開催しており、昨年2月には国内でeスポーツ事業への本格参入を決定した。海外では試合をインターネット配信してスポンサー収入などにつなげているが、国内でも地方のイオン系の商業施設で小規模の大会を開催するようになった。カプコンの荒木重則常務執行役員(47)は「地域で若い選手を発掘し成長過程をインターネットで伝えてヒーローに育てたい。ヒーローが増えれば競技人口も増えるはずで、将来的には大会の入場料でもっと稼げるようになる」と話す。

 任天堂も昨秋、アクションゲームなどで対戦するイベント「ニンテンドーライブ」を開催。高額な賞金はないが、小学生以下を対象にした部門も設けてeスポーツの裾野を広げようとしている。「ウイイレ」のコナミは、Jリーグと共同で大会を開催するなどサッカーファンに着目し、競技人口の底上げを図っている。また、eスポーツが脚光を浴びるにつれ、トヨタ自動車や日清食品など異業種からの参入も相次いでいる。若者らへの宣伝効果を期待し、大会などのスポンサーとなる動きが活発になっているのだ。

「知能を使うゲーム」海外遠征を見据えて英会話も勉強

講師の指導を受ける生徒たち=大阪市北区のルネサンス大阪高連携「梅田eスポーツキャンパス」で2019年4月9日午後1時48分、大西達也撮影

 ただ、欧米に比べると日本のeスポーツの認知度はまだ低い。ゲームを娯楽ととらえる風潮が強いためで、業界関係者は「市場が海外に比べて小さく、選手育成の仕組みが整っていない」と指摘する。しかし、ここ数年、プロゲーマーを育てようと通信制高校や専門学校がeスポーツの講座を設ける動きも出てきた。

 「これは知能を使うゲーム。説明聞かなわからへんぞ」。男性講師の説明に熱心に耳を傾けながら、学生服姿の約20人の生徒たちがゲーム用のパソコンを操作している。私立の通信制、ルネサンス大阪高等学校(大阪市北区)が昨年開設した「eスポーツコース」の授業のひとコマだ。本気でプロゲーマーを目指す若者が増えていることに着目。少子化で生徒の確保に苦労する中、学生を増やすことも期待してコースを新設した。

 授業はゲームの技術を磨く「実技」に加え、海外遠征を見据えて英会話を学ぶ時間もある。同コースには予定した定員の倍以上の希望者が現れ、現在は50人以上が在籍。全日制で不登校となった経験をもつ生徒が入学するケースもあり、講義を通じて大学進学に興味を持ってもらう狙いもある。同校の福田和彦部長(45)は「ゲームを通じて人と話すことなどが楽しいと思ってもらえたら。eスポーツは子供たちの将来の可能性を広げる」と話す。ゲーム業界に詳しい「ファミ通ゲーム白書」の編集人、上床光信さん(52)は「日本eスポーツ連合の支援や学校新設などで選手を育成し、海外の大会に送ろうとする動きも出てきた。海外で活躍する若者が増えれば、eスポーツ市場はもっと拡大する」と期待する。

真剣なまなざしでパソコンの画面を見つめる生徒たち=大阪市北区のルネサンス大阪高連携「梅田eスポーツキャンパス」で2019年4月9日午後1時50分、大西達也撮影

おすすめ記事

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ORICON NEWS Hey! Say! JUMP、全国ツアー開催を見送り 一部ファンの迷惑行為の影響
  2. 神羅万象チョコ 15年の歴史に幕 累計1億2575万個販売 7月に最終弾発売
  3. 「自分の息子信じたい」被告の両親通報せず 妹は通報提案 野田・女児虐待死
  4. いだてん 孝蔵役の森山未來が金原亭馬生と古今亭志ん朝も演じ分け 語り含め1人4役に視聴者衝撃
  5. 屋久島孤立 下山232人のうち25人到着 残留34人の救助始まらず

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです