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ポットの中は今…

米国の介護・看護、育児を支える移民労働者の現状や課題の研究・取材成果を踏まえ、介護、育児、家事労働や働き方の問題などをリポートします。

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米国の「家族介護士」 給料をもらい大切な人を世話する意味とは

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IHSS制度で長男マイケル(左)の介護をするバーバラ=ロサンゼルス郊外で2月、石山絵歩撮影
IHSS制度で長男マイケル(左)の介護をするバーバラ=ロサンゼルス郊外で2月、石山絵歩撮影

 私は現在、フルブライト奨学金のジャーナリストプログラムで南カリフォルニア大学に在籍し、移民の家事労働者の研究をしています。家事・育児を家族以外の人が有償で担うことが、これまで家事労働の主な担い手となってきた女性の生き方にどのように影響しているかを研究しています。

 研究のきっかけは、日本で多くの働く女性が子育てや介護を理由に退職している現実を目の当たりにしたことでした。このことについて多くの友人が、「だからこそ今、外国人の担い手が必要なんだ」と指摘しましたが、外国人実習生や、経済連携協定(EPA)の外国人看護師・介護士候補生を取材してきた私には、その言葉は傲慢に響きました。日本にやってくる外国人の家族や生活には全く思い至っていないように聞こえたからです。どうしたらすべての人の働く環境を向上できるのか。多くの移民家事労働者がいるアメリカはどうなのか。この答えを求めて、現場の声を取材しています。

 これまで、移民の介護士・ナニー(子守)のリポートをしましたが、今回は、家族が介護士として「給料」を受け取れる「インホーム・サポーティブ・サービス(IHSS)」というカリフォルニア州の制度を利用して「家族介護士」となった2人の話です。これまで話を聞いた家事労働者同様に、2人からも「家事・介護の価格」に対する疑問の声を聞き、家事労働そのものへの偏見を見つめる中で、そこに横たわるアメリカの奴隷制度の歴…

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