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余録

「1羽が樹々の間をかすめ飛び…

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 「1羽が樹々の間をかすめ飛び、見る者のすぐそばへやってくると、そのハトは幻のように飛び去る。もういちど見ようと目を凝らしても、鳥はもういない」。19世紀米国の鳥類画家、オーデュボンの記述である▲何げない一文を「世界大博物図鑑/絶滅・希少鳥類」が引用しているのは、それが未来を予言していたからだ。ハトは北米に50億羽が生息していた地上最多の鳥類リョコウバト、それが20世紀前半に幻のように絶滅してしまったのだ▲何しろ群れが3日間も頭上を渡り続けたという鳥である。だが肉や羽毛目的の乱獲もすさまじく、1日20万羽が捕獲されるようになった。1914年9月1日の動物園での最後の1羽の死は、鳥の絶滅日時の初の正確な記録となった▲乱獲のほか開拓による環境変化が原因とされるリョコウバト絶滅である。先ごろ公表された生物多様性をめぐる専門家の国際会議の報告では、今や陸地の75%が人間により改変され、約100万種の動植物が絶滅の危機にあるという▲リョコウバトのようにこの500年間で絶滅した脊椎(せきつい)動物は680種を超える。そのペースが急加速する近年である。危機は全動植物の4分の1に及んでいるという。地球温暖化により多くの種の陸上生息域も大幅に縮小しそうだ▲報告は花粉を媒介(ばいかい)する昆虫減による穀物生産低下や生態系の変化が招く災害も警告した。人類もまた環境の変化次第で何十億もの繁栄がたちまち幻となる生物である。その一員たる自覚を取り戻す時だ。

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