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的川博士の銀河教室

547 「はやぶさ2」の活躍

論文が「サイエンス」誌に

 さる4月19日付の米国の科学誌「サイエンス」の表紙に、探査機「はやぶさ2」が撮影(さつえい)した小惑星(しょうわくせい)「リュウグウ」の姿が登場しました(図1)。そしてこの号には、「はやぶさ2」がこれまで観測してきたリュウグウについての研究結果が3編、論文として掲載(けいさい)されています。3編のタイトルは見るからに難しいので省略しますが、大体の内容は以下の通りです。

     第一の論文の結論は、リュウグウの密度が低くて、表面に大きな岩塊(がんかい)がたくさん分布しているので、より大きな小惑星が衝突(しょうとつ)で破壊(はかい)された破片が集まってできた「ラブルパイル」と呼ばれる天体であるということ。そのそろばん玉のような面白いかたちは、ラブルパイル天体が高速で自転することによって形成されるのではないかと推定しています(図2)。米国の探査機「オシリス・レックス」が接近して観測している小惑星「ベンヌ」(図3)も、リュウグウと似たかたちです。両者の比較(ひかく)研究で、もっといろいろなことが分かってくるでしょうね。

     第二の論文は、「はやぶさ2」に搭載(とうさい)した近赤外分光計の観測から、リュウグウ表面には含(がん)水(すい)鉱物(こうぶつ)の形で水が存在すると結論づけています。「含水鉱物」というのが分かりにくいですね。私たちのよく知っている「流れる水」のようなかたちの「水」があるのではなく、岩石を構成する鉱物の結晶構造(けっしょうこうぞう)の中に、結晶水(けっしょうすい)として含(ふく)まれているものです。でもこれがたとえば大昔の地球に大量に衝突してきて高温になると、それは私たちの知っている水に姿を変えるでしょう。実は、私たちの地球に海があることに、このことは関係している可能性もあり、とても面白い研究につながります。

     第三の論文は、リュウグウが、どんな進化のプロセスを経て現在の姿になったのかを、可視カメラ、レーザー高度計、中間赤外カメラのデータを使って研究したもの。リュウグウのような1キロ程度の小惑星は、太陽系初期に形成した大きな母天体の衝突と破壊で誕生したと考えられています。この論文では、母天体からリュウグウが進化してくる全体的なイメージについての新しい考え方を提唱しています。

     リュウグウとベンヌが似たようなタイプの小惑星で、かたちも似ていることから、日本と米国での「はやぶさ2」と「オシリス・レックス」の観測・研究は、連携(れんけい)して進められ、同時に競争もあります。スポーツの試合のように、お互(たが)いに励(はげ)ましあい、競り合いながら、いい研究が進んでいくといいですね。


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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