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社説

北朝鮮のミサイル発射 瀬戸際戦術回帰に警戒を

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 核実験やミサイル発射を控えてきた北朝鮮が、再び軍事的な緊張を高めている。

     4日に続き、9日にも日本海に向けて複数の飛翔(ひしょう)体を発射した。韓国軍によると、最大飛距離は4日が約240キロだったが、今回は約420キロに伸びた。4日の発射について、専門家は弾道ミサイルの可能性を指摘していたが、日米韓3カ国とも認定を避けてきた。

     今回、米国防総省はようやく弾道ミサイルと断定し、トランプ米大統領は不快感を示した。ただ一方で、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長への信頼感も表明した。北朝鮮が核・ミサイル実験を中断したことを成果としてアピールしてきたため、不都合な事態を認めたくないものとみられる。

     日本も、米国の発表を受けた形で短距離弾道ミサイルと認定したが、岩屋毅防衛相らは日本の安全保障に直接の影響はなかった点を強調した。安倍晋三首相が金氏と無条件で会談実現を目指す方針に転換しており、米国と足並みをそろえた。

     韓国はいまだに弾道ミサイルと認定していない。南北融和を看板とする文在寅(ムンジェイン)政権は北朝鮮への食糧支援により信頼構築を図る構想を打ち出したばかりだ。北朝鮮を刺激しないよう苦心しているのだろう。

     北朝鮮は、米国を揺さぶり交渉を有利に進めることを狙っているようだ。4日の飛翔体発射については「国際社会はもちろん、米国や日本も約束違反ではないとの立場を明らかにした」と開き直った。米国が交渉に応じるまで、挑発行為をエスカレートさせる可能性がある。

     しかも、発射されたのはロシアのイスカンデル弾道ミサイルを基にした新型兵器との見方がある。ミサイル防衛システムを回避する能力があると言われるのがイスカンデルだ。

     弾道ミサイルの発射は、飛距離や射程に関わらず国連安全保障理事会の決議違反に当たる。地域を不安定化させる行為は容認できない。

     対話により問題解決に当たることは望ましい。しかし、日米韓が各国の政治的な思惑を優先するあまり、現実を過小評価してはいけない。

     短距離弾道ミサイルが直接的な脅威となるのは日韓両国だ。北朝鮮が瀬戸際戦術へ回帰しつつあることに警戒すべき時である。

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