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社説

米国が対中関税を強化 通商を超えた深刻な事態

 トランプ米大統領が中国への制裁を巡り、これまでと次元の異なる強硬姿勢を明確に打ち出した。

     まず中国からの輸入品約22兆円分への制裁関税を10%から25%へ大幅に上げる措置を発動した。25%の対象はこれまで全体の1割程度だったが、一気に半分近くに拡大した。

     さらにトランプ氏は25%の関税を中国からの全輸入品に広げる手続きに入るよう指示した。中国も報復を予告しており、全面的な貿易戦争に突入する危険性が出てきた。

     ここまでエスカレートしたのは、政治体制の異なる米中に国家の根幹を巡る根深い対立があるからだ。

     トランプ氏が大統領に就任した一昨年、対中政策の主要課題に据えたのは貿易不均衡だった。中国は大型商談をまとめて圧力をかわすという従来と同じ手法で対応できた。

     だが昨年秋に行われたペンス米副大統領の演説では、外交や安全保障を絡めて包括的に中国の伸長を抑え込もうという姿勢が鮮明になった。

     軍事にも直結する先端技術で中国に覇権を脅かされるとの危機感が強まったためだ。単なる通商協議のレベルを超え、経済や安保で世界の覇権を争う深刻な事態となった。

     最近の米中協議でも、米国が問題視したのは中国の構造問題だ。

     一つは中国に進出した米国企業の技術移転が強制され、中国の次世代産業育成に利用されていることだ。

     中国は強制を禁じる法を成立させたが、米国は違反した場合、制裁を科せるよう要求した。中国は「主権の侵害」と反発している。

     もう一つは中国が次世代産業に巨額の補助金をつぎ込んでいる点だ。

     官民一体の産業育成は中国の成長の源泉となってきた。補助金の撤廃は「国家資本主義」の基盤を揺さぶりかねない。中国共産党の一党支配にも関わり、譲れない一線だ。

     中国のこうした問題は、そもそも国際ルール違反と日欧も批判している。中国は改革に取り組む必要がある。かといって力ずくで抑え込むと国際秩序を著しく不安定にする。

     米中対立が激化すると、両国が排他的な経済圏を形成する「ブロック経済化」を招きかねない。だが世界の分断は経済を混乱させるだけだ。米国が自らの覇権のために世界を巻き込むことは許されない。

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