メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

西村玲子の装い帳

青空を手に入れよう

 アンティークが好きで仕方なかった。初めてパリに行ったのは27歳の時だったかな。古着の服や、それにまつわるすべての品物に魅せられた。それからしばらく蚤(のみ)の市に行きたくて、私はパリに憧れていた。今はさすがにそういう気持ちからは遠くにいる。

 最初に入院した時、インスタグラムの骨董(こっとう)品を扱う投稿を見るのに熱中した。「退院したら、この中の服を1枚買うわ」。娘は「それがいいわ」と励ましの気持ちを込めて言ってくれていた。骨董品という狭い中での選択肢にこだわっていた。不思議だ。今ではみじんも興味がなくなっている。あの時は、何かに心を移さないと自分が壊れそうに思えていた。入院していても、退院してしばらくも。何かにつかまっていたかった。

 今、すっかりそんなことを忘れて、私は普通になった。それどころか、何かを欲しがる気持ちはむしろ断捨離の対象になり、物を減らすのが楽しくなった。娘の力を借りて、必要ないものがすっきり片づいていく。初めはそんなものまで捨てるのと嘆いていた私だが、娘の判断の確かさがありがたい。

この記事は有料記事です。

残り357文字(全文814文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 落語家の桂文枝さん 67歳妻と99歳母が死去 今月下旬に相次ぎ

  2. 東名あおり運転デマ投稿、強制起訴の被告が死亡

  3. 皇族に人権はない? 「眞子さまと小室さん」ご婚約内定から見えてきたこととは

  4. 大阪で過去最多23人死亡 新型コロナ 新たな感染者は357人

  5. 際立つ大阪のコロナ死 その理由、高齢者の「命のリスク」高める構図とは

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです