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社説

6年ぶり「景気悪化」 楽観論だけでは済まない

 内閣府が発表した3月の景気動向指数によると、景気は2013年1月以来、6年2カ月ぶりに「後退局面」にある可能性が高いという。

     主な要因は、中国など海外経済の減速で、自動車や半導体などの生産が落ち込んだことだ。外需頼みで回復してきた日本の景気の脆弱(ぜいじゃく)さを改めて示した。

     景気動向指数が「後退」に転じたのは、12年末の第2次安倍政権発足以来、初めてだ。

     夏の参院選に向けてアベノミクスをアピールしたい政府は「『戦後最長』の回復が続いている」としてきた。今月下旬に公表する5月の月例経済報告で公式の景気認識をどう変えるかが焦点だ。

     参院選前を理由に市場では「下方修正しても『回復過程での一時的な悪化』と説明するのでは」との見方も出ている。だが、景気の先行きは楽観できない。

     足元では、米経済が堅調な回復ぶりを示し、政府の景気対策などで中国経済も復調傾向を示している。しかし、トランプ米政権による対中関税引き上げをきっかけに貿易戦争は激化しており、その悪影響がいずれ米中経済に及ぶのは必至だからだ。

     米中経済が悪化すれば、日本の輸出や生産は本格的に冷え込むリスクがある。日本はこれまでのように外需頼みの景気回復を期待できる状況ではなくなっているということだ。

     アベノミクスの実態は、日銀の異次元緩和策による円安効果をテコにした輸出拡大や大企業の収益向上策だった。今回の景気悪化は、その限界を露呈させた格好だ。

     政府は「個人消費の底堅さ」も景気回復の理由にあげてきたが、賃上げが広がらない中、消費の大きな伸びは期待できそうにない。

     与党内では「景気悪化」を理由に、今年10月からの消費増税延期を求める声が強まることも予想される。だが、内需の柱の個人消費が力強さを欠く根底には、老後や子育てなど将来への根強い不安がある。その点を考えれば、社会保障制度の再建に不可欠な消費増税の3度目の延期は望ましくない。

     政府は楽観論に流されない現実的な景気認識の下、アベノミクスの問題点を認めた上で、経済政策運営に当たるべきだ。

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