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社説

国民投票での広告規制 野放しのままでいいのか

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 約1年3カ月ぶりに実質審議が行われた衆院憲法審査会で、国民投票実施時のCMのあり方が改めて議論になった。国民投票法は、政党やその他の団体が賛成、反対の投票を呼びかけるCMを投票日14日前から禁止しているが、それ以前は自由に流せるため、放映量の差が公平な投票行動を左右する懸念は拭えない。

 投票呼びかけのCMを2週間禁止したのは、有権者が静かな環境で判断する期間を確保するのが目的だ。大量の広告による影響は、それほど大きいと考えられているわけだ。

 12年前の同法制定時は、日本民間放送連盟(民放連)の自主規制が想定されていた。しかし先週の同審査会で、民放連は表現の自由を理由に量的規制は行わないと表明した。

 主要野党はこれに反発し、立憲民主党は法規制による全面禁止を主張している。国民民主党も政党は全面禁止、その他の団体は広告費の上限を5億円とするよう提案している。

 憲法改正案は、衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議する。国会で熟議を尽くし、主要な与野党が同意する合意優先型であるべきだと考えられていたため、国民投票のCMも改憲内容を周知する啓発活動の一環と位置づけられた。

 実施された場合は、日本で初めてだからこそ、国民投票はできる限り規制のない自由な形で行われるべきだという考え方は理解できる。

 しかし、再登板した安倍晋三首相は、与党など改憲勢力で衆参両院の3分の2の議席を占め、改憲への姿勢は対決型も辞さない構えを見せている。こうした現実政治の変化を踏まえれば、公正な国民投票運動を担保するには、CM規制も野放しのままではなく、広告費の資金総量規制を検討すべきなのではないか。

 さらに、有権者が利用する現在の情報環境を考えれば、テレビCMと共に早急な検討を要するのは、現行法では対象になっていないインターネット広告のルール作りであろう。

 英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた国民投票など諸外国の経験を見ても、全有権者の直接投票による意思決定は、時に行き過ぎたポピュリズムによる混乱や国内の深刻な政治的分断を生む可能性がある。

 最高法規の改正手続きは、慎重かつ周到な制度設計を期すべきだ。

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