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ふるさと納税 新制度で対応迫られる自治体も

返礼品から除外されることになったゴルフ用品が載った福岡県久留米市のカタログ=同市城南町の同市役所で2019年5月13日、江刺正嘉撮影

 高額の返礼品で人気を集める「ふるさと納税」が6月から新制度になる。返礼品は「調達額が寄付金の3割以下」の「地場産品」に限られることになり、地場産品とは言えない豪華な返礼品で寄付金を集めてきた自治体は対応を迫られている。とりわけ多額の寄付金を集め、総務省が新制度での参加を認めない方針を固めている大阪府泉佐野市や佐賀県みやき町など4市町への影響は大きい。

 「せっかく会社をつくり、地元の人を雇用したのに今後どうなるのか」。みやき町でふるさと納税サイトの管理や商品プロデュースを担う会社「plan」の大石秀一代表は頭を抱える。2016年2月に設立し、社員10人を雇う同社は佐賀県吉野ケ里町や福岡県小郡市などのふるさと納税サイトの事業も手がけるが、一番の大口はみやき町だ。

 返礼品としてネット通販のギフト券や電化製品、旅行券などをそろえたみやき町が18年度に集めた寄付金額は168億円に上り、前年度の72億円から2倍以上に増えた。ネット通販「アマゾン」のギフト券などを贈る泉佐野市や静岡県小山町、和歌山県高野町と共に全国でも群を抜く。

返礼品の金額を制限する総務省に反発し、5月末まで展開するアマゾンのギフト券上乗せキャンペーンをPRする大阪府泉佐野市のホームページ

 これに怒ったのが、自治体に過度な返礼品の見直しを求めてきた総務省だ。4市町を新制度の対象から外す方針を固め、15日に正式に通知する。みやき町は寄付金を財源に小中学校の給食費や18歳までの医療費の無償化などを進めており、ふるさと納税制度への復帰が長期間認められなければ町財政への影響は避けられそうにない。

 4市町以外の自治体も新制度で決められた「寄付金の3割以下」「地場産品」の条件を満たすため見直しを迫られている。

 地元にゆかりの深いブリヂストン製品を返礼品の目玉としてきた福岡県久留米市。中でも高い人気を誇った自転車は「資産性・換金性が高い」として総務省から見直すよう指導され、17年度に廃止した。そのあおりで16年度に約20億円集めた寄付金は18年度は約5億8000万円まで減少する見込みという。

 さらに6月からは、18年度に約2億4000万円を集めた同社製のゴルフ・テニス用品なども「地場産ではない」との指摘を受け除外することになった。市の担当者は「残念な面もあるが、ふるさと納税制度が健全に発展するのは大切だ」と話し、今後は巨峰や梨、柿などを主力商品に育てる方針だ。

 この他、福岡県福智町は県外産のウナギや外国産のワインを返礼品から外した。新たな制度は、返礼品の調達額に送料などを加えた合計額を寄付額の5割以下にすることも定めているが、宮崎牛などが人気の宮崎県都城市は5割を超えていた。市の担当者は「寄付額の約4割を首都圏が占めており、送料の負担が大き過ぎた」と説明し、一部の返礼品の内容量を減らすことも検討している。【満島史朗、江刺正嘉】

競争激化で制度を厳格化

 ふるさと納税は、大都市と地方の税収格差緩和を目的に2008年にスタート。15年に減税対象となる寄付額の上限を引き上げ、さらに手続きも簡素化するなどしたことで寄付額が急増し、自治体間の競争が激化した。

 国は返礼品を地場産品に限定し、寄付額に対する返礼品の額の割合(返礼率)を3割以下に抑えるよう各自治体に求めてきた。しかし、4市町のように見直しに応じない自治体が続出したため、地方税法を改正し、6月から制度を厳格化することにした。

 ふるさと納税を利用していた人たちの受け止め方はさまざまだ。佐賀県みやき町にも寄付したことがある福岡市城南区の男性会社員(50)は「ふるさと納税はお得感があるから使っていた。返礼品の限度額が下がってしまうと魅力がなくなる」。一方、同市博多区の男性会社員(27)は「今までの仕組みは地域振興につながっていなかったと思う。過剰な返礼品競争がなくなり、ふるさと納税のあるべき姿になるのでは」と理解を示す。

 神戸大大学院の保田(ほうだ)隆明准教授(経営学)は「4市町の参加を認めないことで、総務省の意向にそぐわない行動をした場合は除外されることが明確になった。自治体は統一のルールの中で競争することになるので制度は適正化していくだろう」と指摘する。【杣谷健太、石井尚】

ふるさと納税を巡る主な動き

2008年5月 ふるさと納税制度が開始

15年4月 減税対象の寄付の上限額を2倍に引き上げ、手続きも簡素化

17年4月 総務省が返礼率を3割以下とするよう各自治体に通知

18年4月 総務省が返礼品は「地場産品が適切」と通知

19年3月 返礼品を「寄付額の3割以下」「地場産品」に制限する改正地方税法が成立

   6月 「寄付額の3割以下」などとする新制度スタート(1日)

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