メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

歩行者の安全 悩む自治体 大津園児事故から1週間

事故現場の交差点を調査する滋賀県や県警、大津市の職員ら=大津市で2019年5月14日午後2時8分、猪飼健史撮影

 大津市大萱(おおがや)6の滋賀県道交差点で車同士が衝突し、巻き込まれた保育園児2人が死亡、1人が重体、保育士を含む13人が重軽傷を負った事故から15日で1週間。県は14日に現地調査を実施し、横断歩道の入り口に金属製のポールを立てることを軸に対策を検討している。どうすれば交差点の安全を守れるのか。国の明確な基準がなく、予算も限られる中、自治体は頭を悩ませながら対策を進める。

防護柵設置 交通量など国の基準なく

 現地調査は県と県警、大津市などが合同で実施した。現場の丁字路交差点で写真を撮りながら、横断歩道や停止線、信号機の位置のほか縁石の状態や歩道の幅などを確認した。

 事故は8日午前10時15分ごろ、同市の無職、新立(しんたて)文子容疑者(52)=自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で送検=の乗用車が右折し、対向車線を直進してきた無職女性(62)の軽乗用車と衝突。軽乗用車は信号待ちをしていたレイモンド淡海(おうみ)保育園(同市萱野浦)の園児らの列に突っ込み、伊藤雅宮(がく)ちゃん(2)と原田優衣(ゆい)ちゃん(2)が死亡した。

 交差点は近くに大型商業施設や幹線道路もあり、通行車は平日で1日当たり約1万5000台に上る。以前は追突事故が多かったが、県が4年前に減速を促すラインを右折専用車線と対向車線に引いてからは起きていない。過去5年間で見ても人身事故はなく、今回と同じ直進車と右折車の事故も3件だった。

 園児らは現場の約200メートル南にある保育園から、道路を挟んで向かいにある琵琶湖岸まで散歩する途中だった。園のそばにある信号機のない横断歩道よりも安全と考え、保育士が前に並んで歩道の点字ブロックよりも車道から離れた場所で信号待ちをしていたとみられる。それでも事故を避けられなかった。

 国はガードレールを含む防護柵の設置基準について「歩行者の危険度が高い」などとし、交通量などの明確な基準は設けていない。判断は自治体に委ねられているが、滋賀県も独自の基準は定めていないのが現状だ。県は今回の現場については、軽乗用車が乗り上げた横断歩道脇の縁石の切れ目(幅約4メートル)に金属製のポールを立て、縁石部分には柵状のガードパイプを設置する方向で検討している。他に県が管理する1日当たりの交通量1万台以上の交差点の確認も進めており、担当者は「それぞれの交差点の状況に応じて対策を考えるしかない」と話す。【成松秋穂、諸隈美紗稀】

交差点の安全対策進む自治体も

昨年2月の死亡事故後、交差点付近の歩道に設置されたガードパイプ(手前)。金属ポール(奥)も増設された=大阪市生野区で2019年5月14日午後4時47分、野田樹撮影

 大津市と同様に歩行者が犠牲になる事故が起きた他の自治体では、交差点付近に柵状のガードパイプや鉄製ポールを設置するなどの安全対策が進む。ただ、こうした設備は視覚障害者にとっては危険な面もあり、状況に合わせた交差点ごとの対策が必要になる。

 大阪市生野区では2018年2月、ショベルカーが歩道に突っ込み、交差点付近にいた大阪府立生野聴覚支援学校の児童ら5人が死傷する事故が起きた。当時、現場には歩道にいる通行人を守るガードレールはなく、市は同年3~4月、交差点付近に車の進入を防ぐガードパイプや金属ポールを設置した。

 大阪府警は今回の大津市の事故を受け、通学路や園児の散歩コースの安全確保を各警察署に通知。自治体にもガードパイプなどの設置を呼び掛けた。府警幹部は「悲惨な事故を防ぐために、自治体などと協力して安全対策を進めていきたい」と話す。

 一方で事故の遺族からは疑問の声も。亡くなった井出安優香(あゆか)さん(当時11歳)の父努さん(46)は「保護者は現場が危険だと訴えていた。娘の命の代償でガードパイプができたのは遺族としてつらい。全国で事故に歯止めがかからず、対策が後手に回っているのではないか」と語った。

 横浜市でも死亡事故をきっかけに対策が進んだ。09年6月、同市都筑区の交差点で右折車と直進車が衝突し、信号待ちをしていた女性3人が巻き添えになり死亡。市は事故後、現場の交差点に鉄製のポールやガードレールを設け、他の交差点9カ所でも横断歩道付近にポールを設置した。ただ、歩道上のポールなどが視覚障害者らの通行の妨げになる場合もあり、市の担当者は「地元の要望を踏まえ交差点ごとに対策を検討している」と説明する。【安元久美子、三上健太郎、高嶋将之】

おすすめ記事

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 尾を引く丸山穂高議員の「戦争」発言 問題行動も次々 北海道内外で波紋
  2. バーガーキング大量閉店も「撤退の予定ありません」 新たな20店舗はどこに?
  3. JR北海道 猛暑で運休 レール変形の恐れ
  4. クマの出没、山口県内で相次ぐ 過疎化で生息域管理難航、進出域拡大
  5. ORICON NEWS 岡田准一『白い巨塔』最終話15.2%の高視聴率で幕 5話平均は13.3%

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです