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当事者として、子どもの貧困対策に取り組んできた。飯山市の児童養護施設で育つなど経済的に苦しい環境だったが、仲間たちとの出会いに恵まれて苦学を重ね、今春から早稲田大社会科学部で学ぶ。同様の境遇の子どもたちに「希望を持ってほしい。社会は優しい」と語り掛ける。
「記憶は残っているけど、ドラマの世界にいるような感覚だった」。小学1年の時、父親から家庭内暴力を受けていた母親が自殺。その後、自らも暴力を振るわれ、食事も与えられないなどの虐待が始まった。数カ月後、姉が小学校の教師に相談して児童相談所に保護されたが、事態の急変に理解が追い付かなかった。「『母もどこかで生きている』と思い、泣けなかった」
同情されるのが嫌で、過去の経験は積極的に話さなかった。向き合うようになったのは、高校1年の時に参加した、子どもに学びの機会を提供する一般財団法人「教育支援グローバル基金」(東京)のプログラムでの仲間との出会いだ。児童養護施設の出身者が過去の経験を自分の言葉で振り返り、将来を前向きに語る姿に衝撃を受けた。「これまでは『自分は不幸だ』とばかり思っていたけど、自分に何ができるかを考えるようになった」
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