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余録

昭和の学校で日本史教科書を開いた時…

 昭和の学校で日本史教科書を開いた時、壮大な前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)の航空写真の説明には「仁徳天皇(にんとくてんのう)陵(りょう)」とだけあった。だから今の教科書の「大山(だいせん)(仙)古墳」という名前だけ聞いても何のことか分からぬ方も多かろう▲見れば今の教科書にもかっこ内に仁徳天皇陵という説明があるが、これは宮内庁が天皇家の陵墓に指定しているためである。考古学的には「大山古墳」で、今やここに仁徳天皇が葬られていると考える研究者はほとんどいないという▲今回の世界遺産登録に向けた推薦書では「仁徳天皇陵古墳」の名が用いられた。陵墓だとする宮内庁の協力を得るための折衷案だったが、日本考古学協会など学術団体は被葬者が確定しているように誤解されることへ危惧を表明した▲その大山古墳はじめ百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群(大阪府)の「世界遺産登録が適当」との国際記念物遺跡会議(イコモス)の勧告である。「顕著な普遍的価値」が認められ、来月末からのユネスコ委で登録が正式決定されるのは確実だという▲百舌鳥・古市古墳群は4~5世紀の古墳時代の最盛期に築造された2区域49基の古墳群。中国の史書に「倭(わ)の五王」の朝貢が記され、朝鮮半島と新たな関係ができたこの時代、内外の客人に王権の強大さを誇示した巨大古墳群だった▲世界遺産ともなれば、古墳の保存、調査、公開などにも国際的な理解を得られる基準が求められる。陵墓を管理する宮内庁も国民的な論議に耳を傾け、令和の教科書にふさわしい対応を探るべきであろう。

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