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パラアスリート交差点2020

「障害者の代表」じゃない=陸上短距離・走り幅跳び 高桑早生

 「パラアスリート=障害者の代表」と見られがちかもしれないですが、絶対に違います。これは強調したいです。東京パラリンピックに向けて障害者スポーツが盛り上がることはうれしく、社会にとっても前向きなことだと思います。しかし、冒頭の構図により生きづらさを感じたり、苦しんだりする障害者もいるのではないかと思うのです。

 私はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で自分の考えを積極的には発信していません。受け手側がどう感じるかを、気に掛けているからです。例えば私が「障害者だって走れる」と発信し、受け手が足を切断した患者さんを「高桑が走れると言っていた」と励ましたとします。しかし、切断の症状はさまざまです。義足の適合が難しい断端(切断部分)の患者さんは、非常につらい思いをすることになります。私のような動ける障害者が、さも障害者代表であるかのように情報を発信し、広まってしまうことには注意が必要です。

 私はスポーツで世界のトップを狙っていますが、そうではない人が大多数です。SNS上で、パラアスリートについて「押しつけがましい」とする障害者の意見を目にしたこともあります。スポーツが盛り上がる一方で苦しむ人がいる場合もあるということです。それぞれの人生を大切に尊重し合うためにも、私はアスリートではない多くの人にも思いを巡らせたいです。

 大学4年生の時に陸上関係者から「義足は進化しているからパラリンピックにも出られる」と声をかけられました。実際にはロンドン・パラリンピック出場後でしたが、私は素直に激励と受け止めました。ただ、趣味で走っている人がそういった声をかけられると、重圧を感じることもあるかもしれません。障害者スポーツを広い枠組みでとらえることが必要だと思います。

 自分の発信した情報の広がり方への危惧や、嫌われたくないという思いもあり、SNSで込み入った発信は避けてきました。でも私は日本記録保持者であり、パラリンピックには2度出場した立場でもあります。自分の情報発信のあり方と向き合っていきたいと思います。(あすは車いすラグビーの倉橋香衣です)


 Q 元号が令和に変わりました。どんな時代にしたいですか?

 A 10年しか障害者スポーツの世界にいませんが、平成での環境の変化には驚くばかりでした。パラアスリートからプロ選手が出たり実業団のような活動をしたり、まさに過渡期でした。この変化をさらに発展させていくのが、令和の時代だと思います。日本の障害者スポーツは2020年で節目を迎えます。陸上は21年に日本で世界選手権が開催され、いい流れです。このチャンスを無駄にせず、次の時代に向けたスタートダッシュを決めたいですね。


 ■人物略歴

たかくわ・さき

 埼玉県熊谷市出身。小学6年で骨肉腫を発症し、中学1年で左脚膝下を切断した。慶大2年だった2012年、ロンドン・パラリンピックに初出場。15年世界選手権では走り幅跳びで銅メダルを獲得した。16年リオデジャネイロ・パラリンピックは同5位、100メートル8位、200メートル7位。NTT東日本所属。26歳。(タイトルは自筆)

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