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裁判員裁判 辞退率過去最高の67% 性犯罪厳罰化など「量刑判断幅広く」 10年報告書

最高裁=伊藤直孝撮影

 21日で制度施行から10年となる裁判員裁判で、裁判員を辞退する人の割合(辞退率)が上昇を続け、昨年は過去最高の67%に達した。最高裁が15日に公表した制度の報告書で明らかになった。6割を超えたのは2012年以降7年連続。最高裁は裁判員の負担軽減を課題に挙げ、「非日常的な世界に参加することへの漠然とした不安を取り除くべく努力を続ける」としている。

 辞退は病気や妊娠、介護、重要な仕事で著しい損害が生じる場合など正当な理由があれば認められるが、審理日数の増加や関心の低下なども影響しているとみられる。報告書によると、辞退率は制度が始まった09年は53.1%だったが、12年に61.6%と6割を突破。その後も上昇傾向が続く。最高裁は「制度の安定運用に差し迫った影響を及ぼすレベルではない」とするが、「辞退率がどの程度まで許容されるか検討する必要がある」と問題提起した。

 初公判前に争点や証拠を絞る公判前整理手続きの長期化も課題として指摘されている。所要期間の平均は10年の5.4カ月から、18年は8.2カ月まで延びた。最高裁は、早期の裁判開始は被告の保釈実現や関係者の記憶喚起につながる利点があるとし、「主張のポイントを絞る意識は広まっているが、法曹三者とも実践できていないのではないか」と議論の必要性を訴えた。

 一方で、裁判員経験者の9割以上が参加を肯定的に受け止めているとして「大きな成果」と評価。制度によって、書面より法廷でのやりとりを重視する「公判中心主義」への転換が進んだ点を「刑事裁判が劇的に変わった。難解な法律概念も本質に立ち返った説明が試みられるようになった」と総括した。

 市民感覚の反映による判決の変化についても言及した。特に性犯罪の厳罰化が進み、強制性交等致死傷(強姦(ごうかん)致死傷)罪の最多の量刑は、裁判官裁判では「懲役5年以下」だったが、制度導入後は「同7年以下」となった。殺人罪では制度を境に執行猶予付き判決の割合が5%から8%に増えた。「介護殺人」をはじめ、家族間の事件で情状酌量の判断が多く示されていることが背景にあるとみられる。

 最高裁は「軽重の双方向で量刑判断の幅が広くなっている。国民の多様な視点・感覚が反映された結果だ」と分析しつつ「現状は到達点ではない。不断の努力が必要で、試行と検証を続けるべきだ」と法曹三者に求めた。

 最高裁によると、今年3月末までに裁判員・補充裁判員を務めたのは9万1342人で、1万2081人に判決が言い渡された。【服部陽】

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