「定年なく恵まれている」それとも「退職後は自由を満喫したい」 70歳まで働く時代へ 現場の声は

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若手を指導する郡司孝一さん(右)。「溶接の技術を後進に伝えていきたい」と話す=宇都宮市内で2019年5月14日午前10時48分、矢澤秀範撮影
若手を指導する郡司孝一さん(右)。「溶接の技術を後進に伝えていきたい」と話す=宇都宮市内で2019年5月14日午前10時48分、矢澤秀範撮影

 15日にあった政府の未来投資会議で、70歳までの雇用の確保を努力義務として企業に課す高年齢者雇用安定法改正案の具体的な内容が示された。政府は、高齢者がより長く働ける仕組みが人手不足の解消や社会保障制度の安定化につながると期待するが、働く現場はどう受け止めるのか。

 薄暗い工場に鉄骨の甲高く硬い音が響き、溶接の青白い火花が散る。柱とはりを接続する「サイコロ」を組み立てる作業台の前。熟練工の郡司孝一さん(67)が、若手従業員に見本を示していた。加工指示書の束を確認しながら、ビルや工場の建設に使う鉄骨の部材をつないでいく。

 高卒後、半世紀近く鉄骨を加工する工場で働いてきた。経験は豊富だが、頼りは勘だけではない。「寸法は、しっかり確認して」。助言に若手が深くうなずく。郡司さんが目尻を下げた。「この仕事が大好きで……。定年という区切りがなくて本当に恵まれている」

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