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社説

部活指導者の暴言 心に深い傷を残している

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 スポーツに励む若者にとって指導者の言葉がどれほどに重いか。現場で携わる大人に考えてもらいたい。

 茨城県内の女子中学生が先月末に自殺した。所属する卓球部では顧問の男性教諭が部員に「殺すぞ」「殴るぞ」などと暴言を吐いていた。

 自殺との因果関係は、設置される第三者委員会の調査を待つ必要がある。ただ、男性教諭は指導に行き過ぎがあったことを認めている。

 文部科学省の運動部活動の指導に関する指針では、殴る蹴るの体罰はもちろん、生徒の人間性や人格の尊厳を損ねる発言も「許されない指導」だ。それが浸透しない。

 日本スポーツ協会に寄せられる暴力行為などについての相談は、4分の1を暴言が占める。スポーツの現場で、指導者の言葉の暴力に悩む選手が相当数いるのが現状である。

 体に傷痕が残るような体罰と異なり、目に見えない精神的苦痛を伴う暴言の被害は表面化しにくい。

 群馬県内の高校サッカー部でもコーチの男性教諭が部員に「殺すぞ」と言い、体罰をしていた。このコーチは、学生時代に受けていた指導をそのまま行ったと話している。

 強圧的な指導によって鍛えられたと考える選手は少なくないとのデータもある。それが力ずくの指導を容認する風潮につながっている面は否定できない。

 部活動は教育である。競争の中で心身を鍛えるとともに、ルール順守の考えを培い、対戦相手への敬意を育む場だ。誤った指導が部員の心に深い傷を残し、人間形成に悪影響を及ぼすことが懸念される。

 スポーツ庁の指針では都道府県などに部活動の教育的な意義について指導者向けの研修を繰り返し行うよう求めている。いかなる場合でも人格を傷つける言動は許されぬことをこうした場で周知徹底してほしい。

 2012年、運動部顧問の暴行や暴言が原因で主将が自殺した大阪市立桜宮(さくらのみや)高の事件を契機に、教育現場でも「根絶」を誓ったはずだ。

 「選手は体を使い、指導者は頭を使う」は、女子マラソンの高橋尚子さんを育てた故小出義雄さんの言葉である。過酷な練習を課す一方、ほめて伸ばすことにたけていた。力任せの言動でしか教えられないのは指導者とはいえまい。

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