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外国からきた子どもたち 東京・昭島市教委、「日本語話せぬ」就学拒否 ネパール生徒、入学先知らされたのに…

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母が証言

就学を拒否され「どうしていいか分からなかった」と話すラビナさん(左)と母シャンティさん=東京都福生市で
就学を拒否され「どうしていいか分からなかった」と話すラビナさん(左)と母シャンティさん=東京都福生市で

 日本語指導体制が整っていない地域で外国籍児らが就学を希望した場合、日本語が話せないことを理由に事実上の就学拒否に遭うケースがある。東京都昭島市のダンゴル・ラビナさん(18)は5年前、公立中学への入学を断られ、NPOの支援で日本語を学び定時制高校に進学した。【奥山はるな】

 ラビナさんはネパールの首都カトマンズで生まれた。母シャンティさん(41)は、家計を支えるため2002年に来日。現在は訪問介護の仕事をしている。ラビナさんは祖父母に育てられていたが、母と一緒に暮らすため14年に13歳で、日本語が話せない状態で来日した。

 シャンティさんは日本の学校の仕組みが分からず、隣接する福生市でNPOが運営する日本語教育の塾「YSCグローバル・スクール」に相談。スタッフと一緒に昭島市教育委員会に行き、就学手続きをした。

 入学先校名が記されている「学校指定通知書」を受け取ったが、その際に絶望的な言葉を投げかけられた。「日本語が分からないと学校には入れません」

ラビナさんが昭島市教育委員会から受け取った「学校指定通知書」(画像の一部を加工しています)=東京都福生市で
ラビナさんが昭島市教育委員会から受け取った「学校指定通知書」(画像の一部を加工しています)=東京都福生市で

 昭島市教委は「希望があれば受け入れているはず。当時の記録がないので分からない」と説明するが、ラビナさんは入学をあきらめ、YSCで文字や会話を学び始めた。

 5カ月後、簡単な日本語が話せるようになり、本来より1学年下の中学1年に入学した。学校には他にも外国から来た生徒が3人いたが、日本語がうまかった。日本語指導はなく「授業は全部難しい。ずっと、ぼーっとしてた」。教室を移動して授業を受ける時も行く先が分からず、一人ぽつんと取り残された。

 「いじめ」にも遭った。体育館での集会の最中、女子生徒に何回もつねられた。中学2年の5月に長野県へ行った修学旅行では、バスの中で男子生徒から金属製定規で腕をたたかれた。「先生に言いたいけど、詳しい説明ができない。泣くこともできなかった」

NPOの塾で学ぶ

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 この年、市教委から週1、2回、日本語指導員が派遣されるようになった。夏ごろから日本語が少しずつ理解できるようになり、クラスメートから「ラビナ。分からない事は言ってね」と声を掛けられた。友達ができ、休み時間の会話にも加われるようになった。

 YSCには昨年度も就学拒否の相談が2件寄せられた。スタッフのピッチフォード理絵さん(57)は「学校の中に日本語指導の体制がないことが、就学拒否につながっているのでは」と指摘する。

 ラビナさんは、都内の定時制高校に進学した。学校には外国籍児もおり、日本語が苦手な生徒に向けた少人数授業などがある。今春、2年生になり日本語も上達した。

 昨秋の文化祭では模擬店のパンフレットに載せるイラストを描き、クラスメートから「めっちゃ上手」とほめられた。その後はイベントがあるたびに「イラストを描いて」と頼まれるようになった。

 「友達に頼りにされてうれしい。勉強も分かるようになって、休みの日も学校に行きたいくらい」。ラビナさんは目を輝かせた。

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