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社説

古墳群が世界遺産登録へ 保存と公開両立の契機に

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 日本最大の「大山(だいせん)古墳(仁徳天皇陵)」を含む百舌鳥(もず)・古市古墳群が7月にも世界文化遺産に登録される見通しとなった。保存や公開、学術研究を一層進める契機にしたい。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が「登録が適当」と勧告した。登録されれば国内の世界遺産は文化19、自然4の計23件になる。

 古墳群は堺など大阪府内3市にまたがる。墳丘の全長が国内3位までの巨大古墳を含み、壮大さが目を引く。大小さまざまな古墳が現存する多彩さも「古墳時代の社会政治的構造を証明している」と評価された。

 地元では観光振興への期待が広がるが、世界遺産の本来の目的は、過去から引き継いだ人類共通の遺産を未来に伝えることだ。

 課題の一つが古墳の保存だ。濠(ほり)で囲まれた古墳は浸食を受け、外周が崩れる。また樹木が繁茂しすぎれば、墳丘の原形も保てない。

 登録対象の古墳49基中29基は歴代天皇・皇后や皇族の墓として宮内庁が管理する「陵墓(りょうぼ)」などで、立ち入りは厳しく制限されている。

 神聖な場所として守るだけでなく、すべての古墳を対象とした保存・管理組織を作り、将来像を総合的に考える時期ではないか。

 また、陵墓は文化財保護法の対象外とされ、宮内庁以外の外部機関による学術調査がほとんど実施されていない。古墳は古代国家の成立を探るうえで貴重な史料でもある。ベールで包むのは大きな損失だ。

 昨秋、大山古墳の外周の堤の一部について、宮内庁と地元の堺市が初めて共同調査したが、小規模にとどまった。協議をさらに進め、対象を一層広げてほしい。

 世界遺産になれば、間近に見たいという要望も増えよう。核心部分は祭祀(さいし)の場として尊重しつつ、区域や期間を区切って市民に公開することは可能なはずだ。人類の宝を多くの人と共有したい。

 古墳群は住宅密集地の中にある。景観保護などに課題は残るが、住民の協力が得やすい面もある。諮問機関は「地域コミュニティーが保存・管理体制に主体的に参画できるように図るべきだ」と注文している。

 世界遺産への登録を機に地域住民を含む官民が協力し、遺跡保存に新たな範を示したい。

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