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大阪都構想と公明党 住民の利益か党の利益か

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 大阪市を廃止して東京のような特別区に再編する大阪都構想をめぐり公明党が協力姿勢に転じた。

 東京一極集中によって相対的に大阪が地盤沈下する中、大阪府・市の統合を図り、地域の成長戦略を一元的に進めようというのが都構想だ。大阪維新の会が唱えている。

 それに対し公明党は「住民サービスの低下につながる」と批判し、大阪市を残して行政区の権限を強化する「総合区」制度を主張してきた。

 先月実施された大阪府知事・市長のダブル選では自民党と歩調を合わせ、「都構想に終止符を打つ」と訴えた候補を支援して敗れた。

 選挙で示された民意を受け止め、ときには大きな妥協もするのが政治ではある。しかし、住民の利益にならないという理由で反対していたのに、選挙で負けたからというだけで主張を変えるのは筋が通らない。

 本来であれば丁寧な議論と説明がなされるべきだが、公明党はダブル選からわずか1カ月で方針転換を表明した。大阪市の住民投票実施に協力するだけでなく、都構想そのものに賛成する可能性も示唆している。なぜそれほど急ぐ必要があるのか。

 ダブル選で大阪市長に当選した日本維新の会の松井一郎代表は、次期衆院選で公明党の現職がいる大阪、兵庫の6小選挙区に対立候補を立てる構えを見せ揺さぶった。衆参同日選が取り沙汰される中、慌てた公明側が手打ちを急いだように映る。

 公明党と維新はこれまで衆院小選挙区ですみ分けをしてきた。維新側が対立候補を立てない代わりに、公明側は都構想に賛成しないまでも住民投票などの手続きに一定の協力をするというバーター関係だ。

 公明党はそれが崩れるのを覚悟で維新との全面対決にかじを切ったのではなかったか。4月の衆院大阪12区補選でも自民党候補を推薦して維新候補に敗れた。大阪における維新の勢いを見誤ったのだろう。

 公明党にとって都構想の評価は選挙情勢によって変わるもののように見えてしまう。これでは党の利益を優先していることにならないか。

 知事と市長が入れ替わる奇策でダブル選を制した維新の政治手法にも問題はある。都構想をめぐっては住民本位の政策論議より政党の思惑が先行している感が否めない。

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