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社説

裁判員制度導入10年 市民参加促す環境作りを

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 裁判員制度が始まってあすで10年を迎える。今年3月の時点で9万人を超える国民が裁判員や補充裁判員として裁判に関わった。

 裁判員裁判は、死刑や無期の懲役・禁錮が言い渡せる重大事件が対象だ。裁判官だけの裁判と比較して量刑など判決の内容が大きく変わったわけではない。

 ただし、介護疲れによる殺人に執行猶予が付けられたり、性犯罪や児童虐待事件に厳しい判断が示されたりしていることは、国民の一般的な感覚に沿ったものだろう。

 裁判に「国民の健全な社会常識」を反映させるという制度導入時の狙いは確実に浸透していると言えるのではないか。調書などの書面審理ではなく公判での口頭のやりとりが活発になり、裁判がはるかに分かりやすくなったのも確かだ。

 一方で、裁判員候補に選任されながら就任を断る辞退率の高さが課題になっている。制度開始直後は50%超にとどまっていたが、70%近くまで増えている。

 辞退の理由は仕事が多い。この10年で雇用情勢が変化した。人手不足が顕著となり、非正規社員が増加した。昨年の裁判員裁判の平均所要日数は10・8日である。社員が裁判員を務めることができるよう企業の協力が不可欠だ。有給での裁判員休暇の制度化を企業に促すなど、さらなる対策が求められる。

 法律の知識がないのに裁判員をやれるのかといった心配や、裁判所に出向くことにわずらわしさを感じている人も依然、多いだろう。

 最高裁のアンケートでは、裁判員経験者の9割超が「よい経験と感じた」と回答し、多くの人が充実した評議ができたとも答えている。

 人を裁くことを通じて、犯罪やその背景にある社会の抱える問題に気づかされたという裁判員経験者は多い。だが、裁判員は守秘義務を課せられ、評議の経過など中身に踏み込んだ発言ができない。貴重な経験を社会に伝えることは、辞退率を減らすかぎになる。守秘義務のあり方も再検討が必要だろう。

 さまざまな立場の国民が参加することが裁判員裁判の礎だ。その多様性を維持するためにも、政府は、裁判員が参加しやすい環境作りに一層取り組んでいかなければならない。

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