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社説

米国が「輸入車は安保脅威」 国際法軽視したこじつけ

 トランプ米大統領が輸入車の増加を「安全保障上の脅威」と結論づけた。高関税を課すかどうかの判断は最大で半年後に先送りしたが、その間に対米輸出の多い日欧と交渉して是正を図る方針を示した。

     トランプ氏の判断は重い。「安保の脅威」を根拠に高関税を認める米国の法律に基づき、いつでも発動できる体制が整ったと脅せるからだ。

     対米輸出の制限など、米国に都合のいい譲歩を引き出す狙いとみられる。一方的に期限を設けたのも来年の大統領選を意識したのだろう。

     強引で身勝手な理屈だ。まず「安保の脅威」には当たらない。

     トランプ政権は、輸入車の増加で米自動車産業の開発力が弱まり、国防にも悪影響を及ぼすとの見解を示した。だが国の安全保障は情報技術(IT)などさまざまな産業の総合力に立脚するものだ。ことさら車だけを強調するのは理解に苦しむ。

     まして一般の国民が使う車は安保とは直接関係ない。しかも日欧は米国と同盟関係にある。

     さらに問題なのは、国際法の精神を著しく軽視していることだ。

     世界貿易機関(WTO)の協定は安保が理由なら輸入制限を例外的に認めている。米国は国際法にもかなうと主張したいのだろう。

     だが、WTOが認めている例外は有事などの場合だけだ。適用は極めて限られるとの解釈が一般的だ。

     安保を幅広く認めると、各国が食料やエネルギーなどを理由に持ち出し高関税を乱用する恐れがある。これでは国際秩序が成り立たない。

     トランプ政権は昨年も安保を理由に鉄鋼などの輸入に高関税を発動した。米国産業を守るため、なりふり構わず「安保の脅威」をこじつけたとみられても仕方がない。

     米国は今後、高関税をちらつかせ輸出の数量規制を求めてくる可能性がある。関税以上に自由貿易をゆがめWTOルールに反するものだ。

     保護主義は米国にも逆効果だ。企業の非効率な生産体制を温存し、競争力を低下させる。消費者も高い車を買わされる。経済力が弱まれば、それこそ安保にもマイナスだ。

     安倍晋三首相は、来日するトランプ氏と来週会談する。国際法にそぐわず、米国にも不利益になると主張し、撤回を求めるべきだ。

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