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社説

徴用工で「仲裁委」要請 争い解決に向けた一歩に

 韓国最高裁による元徴用工への賠償判決に関し、日本政府は1965年の日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置を韓国政府に要請した。韓国の李洛淵(イナギョン)首相が先週、政府として対応策取りまとめは困難との認識を示唆したためだという。

     韓国政府は、今年1月に日本が求めた協定に基づく政府間協議に応じなかった。既に原告側は、被告企業からの現金受け取りのため手続きを進めている。日本企業に損害が出る前に何らかの手を打つ必要があったということだろう。

     韓国政府もこれまでは、徴用工問題は協定で解決済みとの見解だった。司法が異なる判断をしたのなら、国内で法整備するなどして対応すべきである。それが国際法の要請するところであろう。

     だが、文在寅(ムンジェイン)政権は最近、個人の民事訴訟に政府は介入できないという立場を鮮明にしている。また李氏は、日韓両政府が解決を模索しても被害者個人が納得しない限り効果的でないとの考えも明らかにした。

     このため、政府間の協定で定められた仲裁委の設置にも応じない可能性がある。しかし、争い解決のためにまずは政府間協議を行い、それでも解決しない場合は仲裁委に諮るというのは請求権協定に明記された正当な手続きである。

     日韓間の課題について、第三国を交えた場で議論するのは望ましくないという見方もある。国内世論が激化し、さらに関係が悪化しかねないという憂慮からだ。

     ただ、かつてのように友好ありきで水面下の協議を行い、折衷案を見いだせる時代ではない。

     日本も、慰安婦問題で韓国が政府間協議を求めた際に応じなかったことがある。お互いに譲歩が難しい懸案については、必ずしも2国間の協議にこだわらず、第三者の視点を入れた仕組みも有効ではないか。

     韓国政府は、対日関係悪化を放置しているわけではないと反論する。ならば、争い解決に道を開く仲裁委の設置に速やかに同意すべきだ。感情を排し、制度に基づく解決策を模索してほしい。

     そのためにも、両首脳は率直に向き合うべきだ。来月大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議はその好機となろう。

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