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記者の目

「幻の科学技術立国」連載を終えて 過度の「選択と集中」転換を=須田桃子(東京科学環境部)

筑波大では、予算不足で耐震化が済んでいなかった連絡通路の屋根が崩落。けが人はなかった。屋根はその後、撤去された=茨城県つくば市で2017年12月11日、大場あい撮影

 かねて指摘される「日本の科学技術の研究力低下」の実態と背景に迫ろうと、この1年あまり、同僚とともに科学面に企画「幻の科学技術立国」を連載した。大学や企業の研究者を訪ね、政策の歴史をたどり、躍進する中国など海外の状況も取り上げた。計30回の連載を終えた今、知の源泉である大学の疲弊を顧みず、効果の見えない「選択と集中」路線をさらに強めようとする政府と産業界の姿勢に強い危惧を抱いている。

 資金が足りず自腹で出張し、実験装置の修理もできない。教員は外部資金獲得の事務作業などに追われ、研究時間を十分にとれない。施設は老朽化し、配水管も取り換えられない。退職した教員の補充は先送り。「ないない尽くし」で、研究どころか教育の質さえ危ぶまれる。これが、日本の多くの大学の現状だ。

 「スペースチャージ」と呼ばれる資金捻出法を知った時は驚いた。施設の修繕・維持のため研究室や実験室、講義室などの共用スペースの学内利用者に課金する制度で、9割の国立大学が導入している。スマートな名称だが、企業に置き換えれば社員に「会社の設備を使うなら場所代を払え」と命じるようなものだ。

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