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参院歳費の自主返納法案 選挙にらみのごまかしだ

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 与党が参院議員歳費の自主返納を可能にする法案を今国会に駆け込みで提出しようとしている。今夏の参院選から定数が3増となる分の経費増を抑えるという触れ込みだ。

 与党は議員歳費、公設秘書給与、交通費などを合わせ3年間で6億7700万円ほど増えると見積もり、全議員の歳費を1人月額7万7000円削減する法案を提出済みだ。

 しかし、野党の理解が得られず、各議員が自主的に返納する方式に切り替えることにした。公職選挙法の禁じる寄付行為とみなされる恐れがあるため、新たな法案では自主返納が違法とならないようにする。

 そこまで与党が歳費の返納にこだわるのは、今回の定数増に対する批判が気になるからだろう。

 昨年の公選法改正により参院定数は比例代表で4増、埼玉選挙区で2増の計6増となった。参院議員は3年ごとに半数が改選されるため、今回の参院選でまず3議席増える。

 議論の発端は都道府県単位で区画されてきた選挙区の「1票の格差」問題だった。議員1人当たりの人口が少ない「鳥取・島根」「徳島・高知」を合区しただけでは是正が追いつかず、さらに合区を増やすかどうかの判断を参院は迫られた。

 人口の多い埼玉の定数増については合区を増やさないためとの理屈が立つ。だが、全国単位の比例代表は1票の格差問題とは関係ない。にもかかわらず比例の定数を増やしたのは、二つの合区であぶれる候補を比例で救済するためだ。

 自民党は今回、鳥取と高知の現職を合区で擁立し、島根と徳島からは比例に候補を立てる。比例で確実に当選できるよう公選法に「特定枠」制度を創設する一方、ほかの比例候補から不満が出ないよう定数を増やした。自己都合というほかない。

 合区をなくしたいのなら、参院選挙区の選出議員を都道府県代表と位置づける憲法改正によるしかない。参院が「投票価値の平等」という憲法の要求を満たさなくてよいとするなら、衆院と異なる参院のあり方を抜本的に論じるべきだ。

 そうした努力をせず、党利党略で選挙制度を変えた後ろめたさがあるのだろう。いざ選挙が近づくと批判が怖くなり、歳費返納で何とかごまかそうとしているわけだ。

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