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時事ウオッチ

関西の大学で教壇に立つ気鋭の研究者4人が交代で時事問題について執筆します。

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若手研究者を潰す競争=富永京子

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 今年4月から大学の教務を免除され、オーストリアで研究に専念している。期間は1年間。特に義務はない。そう聞くと、何となく優雅に感じる人もいるかもしれないが、実際は今までにないような焦りに日々さいなまれている。日本で学生教育や学内業務も受け持ちながら研究していた頃よりも、成果を出せていないためだ。

 昨年末から年始にかけて、人文・社会科学の若手研究者(ポストドクター)が自死した事例が相次いで報道され、若手研究者の窮状は一般に広く知られるところになった。こうした現状は大学が数多く存在する関西においても例外ではなく、多くの研究機関が対策を講じているものの、決して十分とは言えない。私の勤務する大学でも、さまざまな補助制度はあるが問題は深刻だ。

 原因として、1990年代に進められた大学院重点化により大学院進学者が増加した一方で、2000年代以降国立大学の運営費交付金が減少の一途をたどったことが挙げられる。いわゆる「任期付き」と呼ばれる非正規のポストや、1講義ごとに時限的な契約で働く非常勤講師は増加しているものの、新規任用教員は削減されている。若手研究者は、正規教員としての限られたアカデミックポストを巡って熾烈(しれつ)な競争を強いられて…

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