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社説

政府「緩やかな回復」維持 景気実態とズレがないか

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 政府は5月の月例経済報告を発表した。景気判断では「輸出や生産の弱さが続いている」と一部下方修正したが、全体では「緩やかに回復している」との認識を維持した。

     茂木敏充経済再生担当相は「内需を支えるファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)はしっかりしている」と説明した。

     判断を一部下方修正したのは、中国経済の減速で半導体などの輸出が減り、国内生産が落ち込んでいるためだ。一方で、1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値が年率2・1%増とプラス成長だったことや、雇用や企業収益の堅調さを理由に、景気回復は途切れていないと見ている。

     問題は景気の実態に合っているかだ。1~3月期GDPの中身を見ると、輸出減少に加えて、内需の柱の設備投資や個人消費も2四半期ぶりにマイナスとなった。それでもプラス成長を実現できたのは、内需低迷で輸入が大幅に落ち込んだ結果、輸出から輸入を差し引いた外需が見掛け上、大きく増えたからだ。実態は、内外需とも不振で、景気のけん引役不在を印象付ける内容だった。

     政府は第2次安倍政権発足後、景気が上向いた2013年7月以降の月例経済報告で「回復」との認識を示し続けてきた。投資や消費にまで陰りが広がる中で、「回復」との認識を維持したのは、夏の参院選に向けてアベノミクスの成果をアピールしたい思惑がうかがえる。

     だが、上辺だけの回復ムードをいくらあおっても、景気悪化は防げない。足元ではトランプ米政権による対中追加関税引き上げや、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)排除の影響による国内外の経済への打撃が懸念され、企業収益の悪化を見込んで株価も下落基調にある。

     食料品の相次ぐ値上げや賃金の伸び悩みを背景に、家計の消費意欲を示す指数は4月まで7カ月連続で下落している。流通現場では、10月の消費増税を見据えて、節約志向が一層強まっているという。

     政府はこのような景気の実態を直視し、米中貿易戦争の影響などのリスクも丁寧に点検すべきだ。そうしなければ、国内外とも先行き不安が高まる経済状況に、適切に対応できない。

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