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余録

首脳同士の外交が例外的だった20世紀前半の…

 首脳同士の外交が例外的だった20世紀前半の英外交官ニコルソンは、政治家の訪問外交を批判した。その手の外交は公衆の期待や誤解を引き起こし、政治家当人の虚栄心を刺激して誤った判断を誘発するという▲彼にいわせれば、外交とは会話や社交の術ではなく国益を異にする国の間で認証可能な合意を取り決める術だという。合意よりも首脳同士の親密さを内外に示すショーが「外交」となる時代の到来はニコルソンには想定外だったろう▲「令和初」「新時代」という言葉が連発されたトランプ米大統領の国賓としての日本訪問である。ゴルフや大相撲観戦、居酒屋での歓談など安倍晋三(あべ・しんぞう)首相による接遇は両首脳の親密さを見せつけ、日米関係の万全を内外にアピールした▲首脳会談では注目された貿易交渉の決着が先送りされた一方で、対北朝鮮問題などでの「完全な一致」がうたわれた。だが、そんな「一致」の舞台裏をのぞかせたのが、例によってトランプ氏がゴルフ後につぶやいたツイートである▲「貿易交渉で大きな進展を得つつある。農産物と牛肉が焦点だ。7月の選挙(参院選)後まで待つことになる」。安倍首相にもトランプ氏にも選挙の明暗がかかる貿易交渉だが、その参院選後の決着へむけての「大きな進展」とは何か▲首脳同士の親密な関係が、もしや両国の国益の調整よりもお互いの政権の都合のすりあわせの場になってはいないか。国益を守るべき外交が政治家の権力の小道具とされるのはニコルソンの悪夢であろう。

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