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社説

登校の小学生ら殺傷 極度の痛ましさに震える

複数の人が刺され、救助活動が行われる現場付近=川崎市多摩区で2019年5月28日午前8時41分、本社ヘリから

 何気ない朝の日常が突然引き裂かれ、子供たちの悲鳴が響き渡る。あまりの痛ましさに言葉を失う。

 スクールバスを待っていた小学生らを男が襲撃し、包丁で次々に刺す事件がきのう川崎市で起きた。

 小学6年の女児と、別の子供の父親の2人が命を落とした。さらに、児童16人と保護者1人の計17人が重軽傷を負った。現場には血の付いたランドセルが散乱していたという。残忍な凶行に強い憤りを覚える。

 状況から無差別殺傷事件の可能性が強い。容疑者は犯行後、自殺したとみられている。無防備な子供たちがなぜ狙われたのか、動機についての警察の捜査が待たれる。

 児童8人が男に刺殺された2001年6月の大阪教育大付属池田小の事件を思い起こす。あの時は、校内に入った男が犯行に及んだ。

 今回は、路上で起きた事件だ。本来安全なはずのスクールバスが狙われたところに、事件の持つ衝撃の大きさがある。

 昨年5月、新潟市で下校途中だった小学2年女児が殺害された事件を受け、政府は、通学路の安全強化策「登下校防犯プラン」をまとめた。

 学校や警察が連携して全国の小学校の通学路の緊急点検をしたり、防犯カメラの設置を政府が支援したりするなどの対策に取り組んできた。

 近年、地域の防犯ボランティアの担い手が不足し、子供が1人で歩く「見守りの空白地帯」が生じている。そのため、防犯プランでは、子供を極力1人にせず、集団登下校の実施やスクールバスの活用なども対策に挙げていた。

 スクールバスに乗り込もうと集団でいた子供たちが被害に遭った今回の事件は、これまでの対策が想定していなかったことだ。

 安倍晋三首相は、小中学生の登下校時の安全確保について対策を講じるよう改めて柴山昌彦文部科学相らに指示した。どう子供たちを守るか、政府レベルでも議論が必要だ。

 今回の事件で心配なのが被害に遭った子供たちの心の傷だ。男が刃物を振り回し、多くの被害者が血を流す様子を目の当たりにした。幼い心に刻み込まれたショックの大きさは想像に難くない。スクールカウンセラーなどを通じ、心のケアに努めなければならない。

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