メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

強制不妊で初の判決 「違憲」認定の意味は重い

[PR]

 旧優生保護法に基づく強制不妊手術を受けた女性らが国を相手に損害賠償を求めて起こした裁判で、仙台地裁は旧優生保護法について「憲法違反」との初の判断を示した。

 人間が生まれながらに持っている「性と生殖に関する権利(リプロダクティブライツ)」を旧優生保護法が奪ったとして、憲法13条の幸福追求権に違反すると明確に判断した。

 判決は画期的であり、その意味は極めて重い。

 先月国会で成立した救済法は違憲性については触れず、おわびの主語も「我々」とされ、政府や国会の責任はあいまいだった。

 仙台地裁は「一生涯にわたり救いなく心身ともに苦痛を被り続ける。権利侵害は極めて甚大」と述べた。国会は救済法を見直すべきである。

 一方、損害賠償については、原告の訴えは退けられた。不法行為から20年過ぎると損害賠償請求権がなくなる「除斥期間」が定められている。今回の原告は被害から50~60年が過ぎているというのが理由だ。

 しかし、除斥期間を過ぎても「特段の理由」で訴えが認められた判決も過去にはある。旧優生保護法を違憲としながら原告の訴えを認めない判決には疑問が残る。

 国会が長年救済の立法措置を怠ったことについても責任は認められなかった。リプロダクティブライツの法的議論の蓄積が少なく、立法措置をしないことの違憲性に関する司法判断もなかったことが理由だ。

 ただ、判決では「手術の情報は個々のプライバシーのうち最も他人に知られたくないものの一つ」「本人が客観的証拠を入手すること自体も相当困難」として、除斥期間内に損賠請求をするのは「現実的には困難」とも認めている。

 被害にあった障害者の多くはもともと判断能力にハンディがあり、すでに高齢にもなっている。何重にもわたって自ら声を上げられない構造の中に放置されてきたのである。

 そうした特殊性を考えれば、政府は積極的に救済措置を取るべきだったと言わざるを得ない。

 現在ほかにも全国6地裁で強制不妊手術をめぐる国賠訴訟が継続中だ。政府と国会が自らの責任を明確に認めない限り、被害者との真の和解は得られないだろう。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「菅語」を考える 国語学者・金田一秀穂さんが読む首相の「姑息な言葉」 すり替えと浅薄、政策にも

  2. 米大統領選「不正ある」 トランプ氏勝利を叫ぶ日本人識者たちの論理

  3. はやぶさ2、カプセル地球帰還 大気圏突入、豪に着地 JAXA回収へ

  4. 東山紀之さん、主演公演初日延期 テレ朝生放送も欠席 公演出演者らがコロナ感染

  5. 排せつ、セックスも赤裸々に… 半身不随になった「もののけ姫」の「2度目の人生」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです