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記者の目

東京五輪会場と津波 避難計画、万全を期せ=後藤逸郎(山形支局・前特別報道グループ)

2020年東京五輪でセーリング競技の会場となる江の島(手前)=神奈川県藤沢市で1月、本社ヘリから玉城達郎撮影

 2020年東京五輪でセーリング競技が開かれる神奈川県藤沢市江の島の「湘南港」は、国や神奈川県の想定する大地震に伴い津波が起きると、選手や観客らの避難が極めて困難なことを、東京本社版朝刊で4月9日以降、3回報じた。20年東京五輪・パラリンピック組織委員会は「避難は可能」とするが、専門家は「全員を無事に避難させる方法はない」と指摘する。「復興五輪」を掲げる以上、万全な避難計画の策定に努め、避難が難しいなら会場変更もためらうべきでない。津波犠牲者に思いを寄せ「想定外」の再来を防ぐことこそが、東日本大震災後に五輪を開催する日本が世界に果たす責務だ。

 報道する際のベースにしたのは、江の島での開催が決まる前の15年3月、神奈川県が作成した津波浸水シミュレーションデータだ。九つの地震に関するもので、このうち「大正型関東地震」(1923年の関東大震災の再来型、マグニチュード8・2)の場合、発生から約90秒で選手やスタッフの所在する場所に津波が到達し、約8分後には観客の立ち入り想定区域を含め大半が水深1メートルになる。「元禄型関東地震」(1703年の元禄地震の再来型、同8・5)ならより早く浸水し、約5分後に多くが水深1メートルになる。水深30センチで死者が出始め、1メートルなら死亡率100%--とされ、取材した専門家たちは現地の地形も踏まえて、避難の難しさを指摘する。

 組織委の説明は疑問点が多い。大正型の発生間隔は200~400年、元禄型は2000~3000年。いずれも行政が想定する地震なのに、組織委は「発生間隔などから大正型を想定している」として、元禄型を切り捨てる。「可能性がより高い大正型に備えれば十分」と言わんばかりだ。しかし、これでは想定外に備え、各地に津波避難施設整備を進める国の方針を否定するに等しい。また「想定している」とする大正型についても、観客…

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