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余録

「日本の子供は一日の大部分を街中で…

 「日本の子供は一日の大部分を街中(まちなか)での運動に専心できるのである。子供は交通のことなどすこしもかまわず遊びに没頭する」。明治初めに来日したドイツ人学者は街を遊び場にする子供の群れに目を奪われた▲人力車や馬が遊びを邪魔せぬよう回り道をすることを子供たちは知っていたのだという。「かれらは大人からだいじにされるのに慣れている」。むろんこのドイツ人は庶民の家には子供が遊べる場所がないという事情にも触れている▲街中の道や空き地が遊び場だったというのなら、今の年配の世代の子供時代もそうだったよという方もおられよう。交通事情の変化や公園の整備は子供たちの外遊びを変えたが、今ではその外遊びそのものが絶滅の危機にあるらしい▲千葉大の研究室の調査によると小学生の7割以上が放課後に外遊びせず、1割以上が遊び仲間が一人もいなかった。調査は千葉市と宮城県気仙沼市などで行われたが、外遊びについては都市部も自然の多い地域もほぼ同じ傾向だった▲遊ぶ場所はといえば、「家の中」の割合が千葉よりも気仙沼の方が多いのも目立つところだ。明治以前の子供だらけの街中はともかく、昭和の放課後の原っぱでの遊びを思い出す世代にも何やら別の星に来てしまったような話である▲子供が犠牲となる事故や事件が相次ぐ昨今、まずは危険から子供を守るのを優先せざるをえない。道で勝手に遊んでいても子供がそれとなくみんなに守られていた世から、ずいぶん遠くへ来たようである。

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