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社説

中道退潮の欧州議会選 統合に多様な民意反映を

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 第二次世界大戦後に「非戦の誓い」から産声を上げた欧州統合の歩みが足踏みする事態は避けられた。

 欧州連合(EU)に加盟する28カ国で計751人の議員を選ぶ欧州議会選があり、統合推進派が3分の2の議席数を維持した。

 だが、政治地図は様変わりした。EUをけん引してきた中道右派と中道左派の伝統政党が過半数を割った。1979年に直接選挙制となって以来初めての出来事だ。

 「加盟国の主権回復」などを求める反EU勢力がフランスやイタリアで勝利し、英国ではEUからの早期離脱を訴える新興の「ブレグジット党」が第1党になった。

 しかし、EUの存在意義が否定されたわけではない。離脱を巡る英国の混乱が「反面教師」となり、事前世論調査でEUの支持率は6割超に上った。その結果、反EU勢力の議席増は事前予想を下回った。

 顕著になったのは、多党化だ。移民流入や地球温暖化、自由貿易などグローバル化時代の問題への対応が新旧各党の明暗を分けた。

 移民排斥を掲げる右翼政党は有権者の不安をあおって勢力を広げ、環境政党やリベラル派は若年層へのアピールが奏功して飛躍した。伝統政党は対応能力を欠くと判断された。

 EUでは長年、欧州委員会のエリート官僚が政策立案で決定的な役割を果たし、加盟国民の意思が反映されにくい、「民主主義の赤字」と呼ばれる弊害が指摘されてきた。

 「赤字削減」のため、市民代表である欧州議会の権限が強化されたことが、今回の高投票率につながった面もある。支持が分散した選挙結果は、多様な民意の反映と言える。

 課題は、政治の分極化が進む中、いかに意見集約を図るかだろう。

 今秋の次期欧州委員長選びを巡っては早くも独仏が対立している。辞任するメイ英首相の後任に離脱強硬派が就けば、「合意なき離脱」の恐れが高まる。団結が必要だ。

 意思決定に手間取り、EUが機能不全に陥ってはならない。市民のための政策を実行できなければ、統合への支持が揺らぎかねない。

 「自国第一主義」が広まるトランプ時代、EUの掲げる自由と多様性の価値観は重要だ。欧州の「壮大な実験」が後戻りしないよう望む。

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