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社説

森友不開示で損害賠償 官の非常識が断罪された

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 国が支払いを命じられた額は3万3000円だった。国の財政にとってはささやかなものだろうが、その意味は限りなく重い。

 森友学園が国から払い下げられた国有地の情報公開請求で、大阪地裁は売却額を不開示とした国の判断を違法とし、慰謝料などの損害賠償を命じた。

 判決は、売却額について「公表されることを前提にしていたことが想定される」として開示すべきものとした。その上で「尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と不開示の判断をした」と断じた。

 2013~16年度に随意契約の国有地売却は104件あったが、売却額が非公表だったのは今回だけだった。当然の判決といえよう。

 官僚が情報公開の原則をゆがめ、国民に損害を与えたと認定したのが今回の司法判断だ。提訴後に売却額が公表され、訴えの利益がないとの判断もありえたが、今回は精神的苦痛を認め、賠償を命じた。適正な開示決定を受けるという人格的な利益が違法に侵害されたとの判断を示した。判決の持つ意味は大きい。

 今年3月にも、学園が計画していた小学校の学校名や設置趣意書を不開示にしたことに対する別の訴訟で、同じ理由で国が敗訴し確定した。国は深刻に受け止めるべきだ。

 一方で判決は、地中にごみが存在していたことを学園が了承する特約条項については不開示を適法とした。仮にごみが撤去されたとしても保護者に強い心理的嫌悪感を与えかねず学園の利益を害するおそれがあるというのが理由だ。

 判決は「国有財産は、売却額を算定した根拠についても公表すべき要請は高い」とも言及している。にもかかわらず、ごみの量については「正確な分量は分からないが相当量のごみが存在した」と認定するにとどめた。「不当な値引き隠しだったのではないか」と主張していた原告側に不満を残した。

 国有地はそもそも国民の財産だ。その売却などの情報を知るのは当然の権利である。官僚が恣意(しい)的に情報公開制度を運用し、ケース・バイ・ケースで開示するかどうかを判断するのは問題だ。

 情報公開制度の基本を改めて示した判決だった。

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