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社説

最低賃金の引き上げ 暮らし守る政策へ転換を

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 政府は最低賃金の引き上げや就職氷河期世代への支援強化を盛り込んだ経済財政運営の指針「骨太方針」の骨子案を示した。

 経済界からは最低賃金の大幅引き上げは人件費がかさみ経営が圧迫されるとして強い反対論が出ている。

 しかし、現在の最低賃金の水準は正社員の給与に比べて著しく低く、複数の仕事をしても貧困状態を抜け出せない人は多い。結婚や出産をあきらめる要因にもなっており、少子化が加速していくばかりだ。

 フルタイムで働いてもまともな生活ができない賃金水準を認めてきたことに問題がある。人々の暮らしを守るために最低賃金の大幅引き上げを実現すべきである。

 以前は最低賃金が適用されるのは学生アルバイトや主婦の短時間パートが多かった。1990年代半ばから非正規雇用が増え、家族の生活を支える稼ぎ手にも低賃金の層が広がっていった。

 先進諸国では最低賃金を大幅に引き上げる潮流が起きている。貧困層への社会政策というより経済政策として賃上げが重視されている。日本でもこの3年は3%程度ずつ最低賃金を引き上げているが、それでもフランスやオーストラリアの6~7割の水準にとどまっている。

 日本も発想を転換すべきだ。

 国内総生産(GDP)の6割近くは個人消費が占めている。低賃金は経済の停滞にもつながる。

 しかも、今後は人口減少がさらに進み、消費者の数は減っていく。賃金の底上げをして個人消費を喚起することが重要だ。

 もう一つの課題は地域間格差である。最も高い東京は985円で、鹿児島は224円も低い。法定労働時間にすると年間で50万円近くも差がある。都市部への労働者の集中を緩和するためにも最低賃金の格差縮小に努めるべきだ。

 人件費が増えて経営が苦しくなる中小企業には、情報技術を導入して効率化を図ることや、地域の金融機関による生産性向上の支援なども検討されるべきだろう。

 経営状況が良いのに後継者がいないため閉鎖する中小企業も多い。成長が期待される企業へ労働力が移ることができるよう、公的職業訓練なども充実させなければならない。

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