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経済観測

毎日新聞経済面に連日連載の経済コラム。経営者や経済評論家らが独自の視点で、経済の今とこれからを展望する。

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打ち出の小づち存在せず=東短リサーチ・チーフエコノミスト 加藤出

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 「自国通貨を発行し、自国通貨建てで国債を発行できる国は、財政赤字にとらわれず歳出を拡大できる」という米国の現代貨幣理論(MMT)が日本でも話題だ。だが注意点が二つある。

 第一に、MMTは財政赤字の拡大を無限に行えるとは言っていない。インフレ率が上昇したら厳格に財政緊縮に転じなければならない。第二に、膨らんだ政府の借金は「フリーランチ」(ただ飯)にはならない。先行きの税収で債務は返済されなければならない。

 もし我々がMMTに基づいて政府債務を膨張させるなら、将来世代がその借金を苦労なく返済できるだけの経済の地力(潜在成長率)の大幅な押し上げが必要だ。それが見通せないなら将来世代への借金証書の付け回しになってしまう。そうなったら彼らは「なぜ昔の世代のツケのせいで我々が受けるべき財政サービスがカットされるのか」と怒るだろう。緊縮財政への転換は政治的に容易ではなくなる。将来につながる“ワイズスペンディン…

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