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余録

食べ物の恨みは怖い、とよく言うのは…

 食べ物の恨みは怖い、とよく言うのは、人の記憶に強く残るものだからに違いない。味だけでなく、見た目も大事。美しく盛りつけられた日本の弁当が最近、海外でも注目されているのはよく分かる▲「弁当の日」が全国に広がっている。香川県の小学校で2001年に校長先生が始めた。子供たちが手作りの弁当を持参する。献立作りや買い物も親に頼らない。生産者や親への感謝の気持ちが生まれるという▲6月は食の大切さを教える国の食育月間である。弁当も食育に役立つはずだ。とはいえ、弁当がいつも歓迎されてきたわけではない。仕事を持つ親が毎朝作るのは大変だ。家計の事情でおかずに差が出る「弁当格差」も生まれる。「給食の方がいい」という親は多い▲脚本家の向田邦子(むこうだ・くにこ)さんが小学生だった戦前の「弁当の時間」についてエッセーに書いている。「おなかが痛い」「忘れた」と言って教室を出て行く同級生がいた。砂場で遊んだり、ボールを蹴ったりしていた▲周りの子も先生も、自分の弁当を分けてあげようとはしない。「薄情のようだが、今にして思えば、やはり正しかったような気がする」。自分に置き換えれば、人に同情されて肩身が狭い気持ちになるよりはいいのだと、向田さんには思えた。そんな経験もあったからか、彼女のドラマやエッセーには食の風景が多い▲今も昔も、子供のころの弁当には、どこか切なさがつきまとう。そんな思いもかみしめながら、生きることを学ぶのも食育かもしれない。

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