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深刻化する空き家問題 解体コストの議論が必要

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 人口減少に伴い、空き家が増え続けている。総務省によると昨年時点で846万戸と過去最多を更新し、住宅全体の13・6%を占めた。

 今後、住宅の空き家化はいっそう加速する。対策にもっと本腰を入れないと深刻な事態に対応できない。

 都道府県別に見ると、別荘などを除き、空き家の比率が高いのは和歌山、徳島、鹿児島の順だった。

 空き家が市街に不規則に広がる状態は「スポンジ化」と呼ばれる。街の治安や防災力を悪化させ、景観を損なうことで地域は衰退していく。多くの自治体は空き家の再活用に取り組んでいるが、限界がある。

 これに対処しようと、危険度の高い空き家を市町村が持ち主の同意抜きで解体し、費用を請求できる代執行制度が4年前から導入された。

 だが、自治体は代執行に二の足を踏んでおり、昨秋までの実施例は約120件にとどまる。強制解体は慎重に行うべきだとはいえ、十分活用されているとは言いがたい数字だ。

 最大の理由は、費用を回収できず自治体が負う懸念が強いためだ。実際、総務省の調査によると、約4分の1のケースで解体費を自治体が全額負担している。

 いまの制度では、解体費への国の支援は持ち主が不明な場合の一部補助などに限られる。緊急度が非常に高い場合など、国の支援を拡充することも検討してはどうか。自治体が費用を出す際の住民理解の進め方など、解体コストをめぐる議論をもっと深める必要がある。

 空き家問題は地方に限った問題ではない。大都市圏では今後、空き家マンションの急増が予想される。

 築40年以上経たマンションは現在約80万戸あり、20年後に約350万戸に増える。今後は首都圏なども人口減少が見込まれるため、多くが空き家や廃虚になるとみられている。

 老朽マンション解体は費用がかさむうえ、所有関係が複雑で自治体にとって事務負担も大きい。しかも古い建物はアスベストが吹きつけられた可能性があり、放置されると周辺住民の健康の脅威となる。

 全国でどれくらい空き家マンションの解体需要が生じそうなのか、政府は実態把握を進めるべきだ。複雑な解体手続きの簡略化を検討するなど、備えを急がねばならない。

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