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「おばちゃんたちの野菜行商」証言や歴史つづる 千葉からピーク時9000人

渡船で行商に向かう女性たち(佐倉市の旧舟戸河岸で1962年、林辰雄さん撮影)=中央博物館提供
表紙

 千葉県立中央博物館(千葉市中央区青葉町)の歴史学研究科長、小林裕美さんが、かつて盛んだった千葉の野菜行商の歴史と背景をまとめた「おばちゃんたちの野菜行商 カゴを背負って東京へ」(B5判50ページ、カラー)を執筆し、県内の博物館や図書館に配布した。「行商の歴史は千葉の近現代史を特徴づける一面もある。重く大きな荷物を背に腰をかがめて行商に行ったおばちゃんたちの人生を忘れてはいけないと思う」と話す。【渡辺洋子】

 著書は午前5時、トマトやキュウリ、赤飯など約70キロの荷物を背負い、都内へ行商に行く印西市の石井のぶ子さん(81)を同行取材した記録から始まる。

 「『新鮮でおいしかったよ』と喜ばれる。顔なじみのみんなが待っていると思うとやめられないよ」。のぶ子さんの言葉と共に、夫の力さん(84)との約60年に及ぶ二人三脚の行商人生がつづられている。

 著書によると、東京への行商は1908(明治41)年、南行徳村(現市川市)の男性が江戸川区へ自転車で野菜を売りに行ったのが始まり。以後、鉄道の発達や農村の不況を背景に、国鉄成田線(現JR成田線)や同房総線(同外房・内房線)、京成電気軌道(現京成線)などを利用して増えていった。35(昭和10)年にはカゴの大きさや荷物の重さなどに対する規制が始まり、戦争の激化に伴い43(昭和18)年には全面禁止されたこともあったが、45~55年代のピーク時には全県で9000人余にまで膨らんだという。当時は「誰もかれも、お大尽の家だって行かない家はない」と言われるほど盛んだったという。

 著書にはこうした歴史や背景、行商経験者たちの話が、行商人であふれかえる行商専用車両や、行商人たちが印旛沼を渡船で渡る場面などをとらえた貴重な写真やイラストとともに記されている。

 イラストを担当した一宮町の美術家、こまちだたまおさんは「おばちゃんたちの歴史を知り、表情も背景もあまりデフォルメしすぎないように描いた」と話す。

 小林さんは「千葉から大勢のおばちゃんたちが行商に出かけて行った背景や歴史を多くの人に知ってほしい」と話している。問い合わせは同博物館(043・265・3111代表)へ。

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