SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『夏の陰(かげ)』『別冊太陽 銀座とクリエーター。』ほか

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今週の新刊

◆『夏の陰(かげ)』岩井圭也・著(角川書店/税別1500円)

 岩井圭也『夏の陰(かげ)』は、力のこもった作品なので、読む方も力が入った。ともに20代の若者である岳(がく)と和馬。岳は宅配便の配送をしている、剣道4段の実力者である。ある日講習会で鋭い視線を感じた。そこに和馬がいた。

 15年前、実の父が岳を人質に立てこもり、機動隊員を射殺し、その後自殺した事件があった。和馬は射殺された男の遺児だった。以後、岳は過去を封印して隠れるように生きるが「殺人犯の子ども」の刻印がつきまとう。実力者なのに公式戦に出ないのもそのため。

 竹刀の檻(おり)に閉じこもってきた岳が、自分の足で人生を歩むため、和馬も参加する全国大会に出場を決める。和馬にとっては、父がなぜ命懸けで岳を救おうとしたのか、という謎を抱いての戦いであった。しかし、岳と和馬にはもっと深い、陰の縁があった。

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