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武田 砂鉄・評『“悪魔の医師”か“赤ひげ”か』池座雅之・著

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命の問題がメディアに消費されてはならない

◆『“悪魔の医師”か“赤ひげ”か』池座雅之・著(出版芸術社/税別1700円)

 2006年、愛媛県宇和島市の万波(まんなみ)誠医師は、日本初の臓器売買事件に巻き込まれる。腎臓がんなどの病気が原因で摘出された腎臓を、病変部分を取り除くなどして修復し、腎不全を起こして人工透析などに頼っている患者に移植する「病気(修復)腎移植」。日本の医療では存在してはならないはずの医療行為は「人体実験」と呼ばれ、週刊誌では「腎臓ホリック 万波誠の“猟奇的犯行”」などと、日に日に過激に報じられていく。

 その一方で、患者たちはこれらの報道を「患者を置き去りにした一方的な建前論と言わざるをえません」と署名活動を開始する。「人体実験」という強烈なキーワードが暴走し、バッシング対象として各方面のお墨付きが出た状態に、誹謗(ひぼう)中傷が止(や)まない。対立構造が強化され、正しいものと正しくないものを区分けし、後者を窒息させるかのような圧がかけられ続けた。

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