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無断切り取りの学芸員は功労者 博物館だれも逆らえず

記者会見で経緯を説明する赤沼英男上席専門学芸員(右)と千田貴浩副館長=盛岡市の県立博物館で5日、小鍜冶孝志撮影

 岩手県立博物館(盛岡市)の学芸員が所有者に無断で金属製の文化財の一部を切り取っていた問題。5日の同館の記者会見には、無断切り取りをしていた赤沼英男上席専門学芸員(61)本人も同席して謝罪した。赤沼氏を知る関係者は「保存処理のすべてを仕切り、大きな権力を持っていた」と語った。【小鍜冶孝志、日向米華、藤井朋子】

 赤沼氏は1980年の開館当時から博物館に勤務する最古参の学芸員。以前から金属製文化財の保存や修復に精通する東北有数の研究者だった。東日本大震災後は、津波をかぶって傷んだ被災地の古文書や標本などを応急処置・修復する「文化財レスキュー」と呼ばれる分野で同館の陣頭指揮を執って一躍脚光を浴びるようになり、メディアに多数取り上げられた。「レスキューで孤軍奮闘していた功労者」とも評価されていた。

 一方で、複数の関係者からは「権威である赤沼氏には、館内の誰も逆らえなかった」という声が漏れる。2014年に同館で無断切り取りが発覚した際、赤沼氏は同県野田村の平清水(ひらしみず)遺跡など2遺跡から出土した約30点についてのみ、関与を認めた。当時、同館の内部からしっかりした調査を求める声が上がったが、同館は赤沼氏が認めた遺跡以外に調査対象を広げず、16年に文書訓告処分を出すのにとどめていた。

 5日の会見で千田(ちだ)貴浩副館長は「文書訓告時は認識が甘かった。しかるべき対応をすべきだった」と謝罪。会見後に同館が出した経緯説明の文書では「保存処理業務を適切に進めるためには、慣例的にサンプリングをすることは必要という意識があったため、他(30点以外)の調査は実施しなかった」と説明した。

 こうした内容に対して別の関係者は「当時の博物館の上層部は事の重大性を理解せず、権威ある赤沼氏の言い分を信じた。言いくるめられたのではないか」といぶかる。

 同館は01~14年に自治体などから預かった金属製の文化財は約560点に上ると明らかにした。このうちの無断切り取りの数について、赤沼氏は4日の取材に「200点くらい」とし、5日の会見では「少なくとも80点」と説明。さらに同館が会見後に公表した文書は赤沼氏の記憶違いとして「約60点と見込んでいる」と信用性に疑いがもたれるような訂正を続けている。

 無断で切り取った理由についても赤沼氏と同館は「保存処理のために必要だった」と釈明したものの、所有者に結果を報告しなかった理由とは結びつかない。「自分の研究資料として役立てたという疑念は消えない」。赤沼氏をよく知る関係者はそうつぶやいた。

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